日本人にはiPhoneを好む人が多い。
別にこれ自体はいいのだが、どうもこの現象を見ていくと、日本人特有の変な同調圧力的な問題が見えるような気がしてならない。今回はそれについて思ったことを少し書いてみようと思う。
なお、筆者はOPPO製のAndroidスマートフォンと11インチiPad Pro、Dell製のノートパソコンで大学生活を送っている。
iPhoneを選ぶ日本人の現状
まずiPhone問題について論じると、前提として筆者はApple製品は洗練されていて大好きだし、iPhoneも素晴らしいデバイスだと思っている。
ただ、それと同時にほとんどの人には必要のない高級品だとも思っている。
iPhoneに関するデータ
日本でのiPhoneのシェア率は2023年8月で約7割となっており、これは世界の真逆の動きである。世界規模で見ると、逆にAndroidが約7割のシェアを占めており、iPhoneは3割程度だ。
まず、iPhoeの日本人の平均的な手取り金額を厚生労働省のホームページ等で調べると、2022年度で27万円程度のようである。
それに対し、iPhoneの価格を見てみよう。例えば最近話題のiPhone15を購入しようとする。ここでは15Plusの中間的なスペックのものの値段を見てみると約15万円である。なんと手取り額の半分以上。
iPhoneの持ち腐れ
本当に一か月の半分以上ただ働きする価値がiPhoneにあるのだろうか。
ここで普通の大学生や社会人のスマートフォンの使い方を考えてみてほしい。
恐らくTikTokやYouTube、InstagramをはじめとしたSNS、ネットサーフィンが中心だろう。人によってはモバイルゲームなどもするかもしれない。
だが、現状これは数万円(というか1, 2万円台)のAndroidでも十分事足りる使用用途ではないだろうか。
「いやAndroidだとインスタのカメラの性能が~」などと言ってくる人もいるかもしれない。確かに、素人ながらiPhoneのカメラで撮った写真はプロっぽく見える。
が、別にインフルエンサーでも何でもない人の投稿など、ぶっちゃけ誰もそこまで真面目には見ていない。近年のAndroidでも十分な性能はある。
ゲームのCPUチップの性能に関しても反論があるかもしれないが、上記のAndroidでカクついてしまうような重たいゲームをやりたいのであれば、そもそもiPadを買えばいい。どうしても移動先でそのゲームをしたいというのなら別だが(ちなみに、iPadはスマートフォンではなく作業効率の良い最強タブレット端末なので、筆者は全人類買うべきだと思っている)。
こう考えてみると、本質はスペックではなくiPhoneの見た目やブランド力にあるのだろう。
確かに洒落た大人がiPhoneを持っているのを中高生が見れば、手にしてみたくなる気持ちも分かる。だが、それってiPhoneである必要ある?と問うてみると、それに応えられる人はほぼいないと思う。
iPhoneのメリットとは何か
まずiPhoneの利点としては以下のようなものが挙げられるだろう
- AirDropやiCloudといったデータ転送手段が整っている
- Mac・iPhone間などのApple製品同士の互換性が強い
- UIがシンプルでAndroidよりも使いやすい
- デザインがカッコイイ
- テキトーに撮っても写真が綺麗
- iOSのみに対応しているアプリがいじれる
これらを踏まえて、逆にiPhoneのメリットや購入しても問題がなさそうな人はどういった人なのだろうか。
まず第一に、ビジネス等でiOSを使いこなす必要がある人だ。特に上記の3つのメリットについてはビジネスや写真等のデータを整理する際に強力な武器になることは筆者も知っているので、これを使いこなせるくらいの使用頻度がある人ならば買ってもよいだろう。
あとは単純にお金が有り余っている人だ。iPhoneは価格は高いが、Androidよりも便利な節はある。
「AndroidのOSのほうが拡張性が高いから~」等の意見もあるかもしれないが、残念ながら筆者はそこまでのIT猛者の域にたどり着いていないので、単純に金額を気にしないのならiPhoneのほうがいいなとは思ってしまう。
ちなみに、私の留学しているマレーシアの学校でも、マレー系の人はAndroidを使っていることが多いが、お金持ちの中華系の人はほとんどがiPhone+Apple Watch+MacBookを標準装備している。
お金持ちで別にiPhoneへの投資が痛手にならない人は購入しても問題ないだろう。
最後に、趣味としてApple製品に愛着がある人だ。
車や時計、いいスピーカーや本など、人には様々な金銭支出を伴う趣味がある。それと同じで趣味の領域でApple製品にお金をかけたい人もいるだろう。Apple製品のボディは洗練されていて美しいし、筆者も大好きなのでその気持ちはよく分かる。こうした趣味としてiPhoneにお金をかけるのはいいと思う。
芋食う虫も好き好き
ここまで書くと、結局iPhoneが買えなかっただけの負け惜しみ感が出ているが、話を戻したい。
結局のところ、この話の論点はiPhoneの見た目やブランド力に一か月の平均手取りの半分以上を費やすのは適切なのか、というところに落ち着くと思う。ここそれだけの価値を見出せるかどうかの価値観が選択の分かれ目である。
筆者はそれならばAndroidとの差額を貯金し、iPadを買うなりPCの性能をアップグレードしたほうが作業の幅が広がって有意義だろうと考えるタイプなので、ここに価値を見出せない。
安定した収入のある社会人が買うならともかく、少なくとも中高生には必要ないとは思う。また、大人だとしても毎年買い替えるなどはもってのほかで、ある程度長く使用する前提で購入するべきだと思う。
ただ、価値観の問題は本当に感じ方が人それぞれなので、どちらが正しいかを議論する気はない。あくまで私がそう思ったというだけだ。
「インスタでも有名人じゃないんだから拘らなくていいじゃん」等の議論もそういう客観視できる問題なのではなく、結局のところ自己満足できるかどうかなのである。
しかし、昔は消費は美徳!と呼ばれた時代もあったようだが、現在の私も含めた若者にそこまでの資金力があるようには思えない。そのこだわりに10万円以上の差額をつぎ込むとなると半々くらいには分かれてくれてもよさそうな気はするが、少なくとも筆者の周りの日本の大学生はiPhoneが多い。
世界的にも幸か不幸か、ここまでiPhoneの普及率が高い国は珍しい。そのことを考えると、結局「周りがなんか買ってるから、話題だから~」的な思考の影響が価値観に与える影響が大きいのだろう。
まあiPhoneがカッコいいにしてもその思考回路を通じて購入している時点であまりスマートではない気はするし、もう少し自分で考えてから行動する癖があってもいいのではないだろうか、といつも思う。
追記
こちらの記事を以前noteで公開した際にコメントをいくつかいただいたことがあるので、それについて書いてみようと思う。
まず、使用年数を考えると実はそこまで大きな負担ではない、という意見があった。
確かに数年使用することができると考えると、毎日ごとに負担する金額はあまり変わらないかもしれない。筆者もiPad Proを6年以上使い続けているが、まだ動作が軽くてバリバリ現役のデバイスとして使えている。サポート期間もApple製品は長いので、そう言われてみるとそんな気もする。
また、他のApple製品との連携が容易である点もやはり大きな魅力のようだ。
筆者も大学のノートはiPadで取ったりすることがあるので、iPhoneとだったら互換性が強くて便利だろうなとは思う。また、Mac限定のソフト(Logic ProやFinal Cut Proなど)もあるのでMacもいいなと思うし、たまにAndroidのアプリは純正のものでもよく動作がバグるのでそこは不満である。
あとは、一度iPhoneを手にしてしまった場合、データの引継ぎの関係がめんどくさいので惰性でiPhoneを使い続けている人もいるようだ。AndroidでiOSのソフト資産が丸ごと使えるなら移行しようと考えている人も多いことが分かった。
ただ、この記事で言及しているのは「なんか特に理由はないけど(脳死で)なんとなく今年もiPhoneにするか~」みたいなタイプの人間についてである。本文にもあるように、別にしっかり目的意識があってiPhoneを選択している人については問題ないと思う。
余談だが、これに似た現象はスターバックス好きの日本人にも見られると思っている。どういうわけか値段が高いスタバを好む人(女性に多い気がする)はたくさんいるが、その中でスタバの商品の味を心から味わって楽しんでいる人はどれくらいいるのだろうか。
ここでも「なんとなくスタバにいる自分がオシャレで好き」のといった思考で利用している人が多いように見えて、iPhone問題と同じ構図が作り出されている気がする。