最近人気が上昇しているマレーシア留学。
- 日本の大学とほぼ変わらない費用で学べる
- 世界大学ランキングで京都大学以上の評価を得ている大学がある
- 英語だけでなく、中国語やタミル語など多様な言語が学べる、多民族・多文化国家である
などなど、様々なメリットが挙げられています。
ただ、受験方法や大学のレベル感、学べる学問などが網羅されているページはまだまだ少ない印象だったので、今回は現役留学生の私がマレーシアの大学進学について、基本情報をすべて網羅してまとめてみました。
この記事を見ればマレーシア留学の全体像が大体分かるはずです!
マレーシアの基本情報まとめ
地理と気候
マレーシアは東南アジアに位置し、マレー半島とボルネオ島に分かれています。
赤道に近いため一年中熱帯気候で、気温はだいたい25〜33度と暖かく、雨季と乾季があります。特に夕方にスコール(激しい通り雨)が多いですが短時間で止むため、生活には大きな支障がありません。

基本的に日本人が留学する大学はマレー半島側にあります。
アクセス
日本からクアラルンプール国際空港まで直行便があり、所要時間は約7時間。航空券の価格は時期によりますが、往復4〜6万円程度で購入可能です。東南アジア諸国へのアクセスも良好で、週末に隣国旅行も楽しめます。



週末旅行もできるし、日本と近いのも安心。
言語
マレーシアの公用語はマレー語ですが、英語は「準公用語」として教育やビジネスの場で広く使われています。多民族国家のため、中国語(主に広東語や北京語)、タミル語なども日常的に耳にします。
留学生にとって英語環境が整っているのは大きなメリットだと思います。
ただし、マレーシアの英語は訛り、クセが強いです。皆さんが想像しているアメリカ英語とは異なります。



マレー語は最悪できなくても生きてはいけます笑。


多民族・多文化社会
マレー系が約60~70%、中華系が約20~25%、インド系が約7~10%を占める多民族国家です。
イスラム教が国教であり、マレー系の多くはイスラム教徒ですが、他民族は仏教、キリスト教、ヒンドゥー教などを信仰。多様な文化や宗教が共存しており、異文化交流の場としても魅力的です。



色々な価値観を学べます。
経済と物価
マレーシアは東南アジアの中では比較的経済発展が進んでいる国です。もう物価は日本の約3分の1、という時代ではなくなってしまいましたが、家賃や食費や交通費は特に安く抑えられます。
ただし都市部や外国人向けの住宅は割高になることもあります。生活費の全体的なコストパフォーマンスは高いです。



1か月の生活費は私は6万円くらい。


教育と大学
マレーシアには世界的に評価の高い大学や、海外の有名大学の現地キャンパスが多数あります。授業は英語で行われることが多く、質の高い教育を比較的低コストで受けられるのが特徴です。留学生も多く、多国籍な環境で学べます。



ランキングだけ見ると京大よりも上位の大学があります。
生活環境
都市部は近代的でショッピングモールや飲食店、交通インフラが整備されています。一方で郊外には自然豊かな場所も多く、リラックスできる環境も豊富です。
治安は良好ですが、スリなどの軽犯罪はあるため、外国人として基本的な安全対策は必要です。



治安が良いので夜もそこまでビクビクしなくても大丈夫。


医療
マレーシアの医療は公立・私立病院があり、私立病院は外国人にも質の高いサービスを提供しています。
ただし、留学生向けの健康保険加入が推奨されています。保険なしだと私立病院の費用は高額になる場合もあります。



日本語対応病院もあります。




このように、マレーシアは「英語で学べて費用も抑えられ、多文化体験ができる留学先」として非常に人気なのです。気候や生活環境も過ごしやすく、東南アジアの他国へのアクセスも良好。
マレーシアの基本情報について、詳しくはこちらを見てみてください👇


マレーシアの大学の種類と特徴
マレーシアの大学は大きく分けて以下の3つのタイプがあります。
国立大学
- 概要
マレーシア政府が運営する大学で、研究力が高く、学費が比較的安いのが特徴です。 - 代表例
マラヤ大学(世界ランキング上位)、マレーシアプトラ大学、マレーシア工科大学など。 - 特徴
留学生の受け入れ比率が制限されており、現地のマレーシア人学生が多いです。授業がマレー語中心の場合もあり、英語での授業が限られていることもあります。 - メリット
学費が安く、研究志向の学生には向いています。 - デメリット
日本人留学生にはやや馴染みにくく、就職サポートがあまり充実していない場合があります。



基本的に、日本人で国立大学に入学する人はほとんどいません。
私立大学
- 概要
私立の教育機関で、国際的な連携や多彩なプログラムが充実しています。 - 代表例
ヘルプ大学、テイラーズ大学、アジアパシフィック大学(APU)など。 - 特徴
イギリスやアメリカの大学と提携したデュアルディグリーや編入プログラムを提供。幅広い分野の学問を学べ、インターンやキャリアサポートも充実。 - メリット
多国籍の留学生が多く、英語での授業が標準。自分に合ったカリキュラムを選びやすい。 - デメリット
国立大学より学費は高めですが、その分設備やサポートが充実しています。
海外大学の分校(別キャンパス)
- 概要
オーストラリア、イギリス、中国などの有名大学がマレーシアに設置した現地キャンパスです。 - 代表例
モナッシュ大学(オーストラリア)、ノッティンガム大学(イギリス)など。 - 特徴
本校と同じカリキュラム・教育水準で学べ、卒業時は本校の学位が授与されます。学費は本校より大幅に安いのが大きな魅力。 - メリット
海外のトップクラスの学位を、マレーシアの生活費・学費で取得可能。交換留学プログラムも充実。 - デメリット
私立大学と同様に費用は国立大学より高くなりますが、価値は十分にあります。
その他:カレッジ(専門課程)
- 大学に併設された2年制の専門学校的な施設で、ディプロマ(専門資格)を取得できます。
- 大学編入の道が開かれている場合も多く、学位取得へのステップとして利用されます。
- 代表例はサンウェイ大学のSunway Collegeなど。
このように、マレーシアでは多様な大学形態から自分の目的や予算に合わせて選べることが魅力です。学費や学びたい分野、将来の進路に応じて賢く選択しましょう。


マレーシアの大学で学べる学問
マレーシアの大学では、文系から理系、芸術分野まで幅広い専攻が用意されており、ほとんどの授業は英語で行われます。留学生にとっても学びやすい環境です。
主な専攻分野の例
- ビジネス・経済学
- ホスピタリティ・観光学
- 文学・教育・法学
- 国際関係学
- 情報技術(IT)
- 理学(サイエンス)
- 工学(エンジニアリング)
- 医学・薬学
- 心理学
- アート・建築デザイン・音楽・ファッション
マレーシアならではの特徴
- ビジネス・観光分野の強さ
マラヤ大学のビジネス専攻は世界ランキングで高評価を得ており、テイラーズ大学のホスピタリティ専攻も非常に人気です。日本の商学部や経済学部に相当する分野が充実しています。 - マレーシア文化の専攻
国立大学を中心に、マレー文化を専門的に学べるコースが用意されている場合があります。マレーシアや東南アジアの文化・歴史に興味がある人におすすめです。 - マレー語の授業
マレー語はマレーシアの公用語のため、多くの大学でマレー語の授業が設けられています。国立大学では必修となっていることが多く、海外大学の分校でも基礎的な授業が提供されていることがあります。たとえば、モナッシュ大学マレーシア校でも簡単なマレー語授業が必修科目として組み込まれています。


マレーシアの大学では英語を主言語としつつも、多様な文化と語学に触れられるため、専門知識だけでなく国際感覚も養える点が大きな魅力です。
マレーシアの大学と世界ランキング
マレーシアは東南アジアの発展途上国というイメージを持つ方も多いかもしれませんが、教育レベルは意外に高く、世界ランキングでも優秀な大学が多数あります。
日本とマレーシアの世界大学ランキング比較(QS 2025年版)
まず、日本の大学でQS世界大学ランキング上位300位にランクインしている大学は10校。旧帝大や早慶など、名だたる難関校が名を連ねています。一方、マレーシアの大学は上位200以内にTOP10がランクイン。
日本を上回る数の大学が世界の舞台で評価されています。
※国立大学、私立大学、そして海外大学の分校すべてを含んだ数値です。
マレーシアの主な大学の世界ランキング(QS 2025年度版)
順位 | 大学名 | 備考 |
---|---|---|
37 | モナッシュ大学 | オーストラリア本校の分校 |
60 | マラヤ大学 | 国立大学 |
80 | サウサンプトン大学 | イギリス本校の分校 |
108 | ノッティンガム大学 | イギリス本校の分校 |
129 | ニューカッスル大学 | イギリス本校の分校 |
138 | マレーシアケバンサーン大学 | 国立大学 |
141 | ランカスター大学 | イギリス本校の分校 |
146 | マレーシアサインズ大学 | 国立大学 |
148 | マレーシアプトラ大学 | 国立大学 |
167 | ウーロンゴン大学 | オーストラリア本校の分校 |
参考までに、日本の大学もいくつか。
- 東京大学:32位
- 京都大学:50位
- 早稲田大学:181位
- 慶應義塾大学:188位
注目ポイント
- モナッシュ大学は東京大学と京都大学の間に位置し、非常に高い評価を受けています。特に薬学部は世界ランキングで4位(2025年版)とトップクラスの実力です。
- 世界的に有名な英国や豪州の大学の分校が多く存在し、質の高い教育を受けられる環境が整っています。
- マレーシアの大学はコストパフォーマンスが高く、世界トップレベルの教育を比較的低価格で受けられることが大きな魅力です。



個人的には、世界ランキングと学生の学力は必ずしも比例するわけではないと思います。
こうしたランキングは大学選びの一つの目安になりますが、教育内容やサポート体制、留学生活の環境なども総合的に考慮して検討することが大切です。
マレーシアの大学のカリキュラムと進学の選択肢
マレーシアでの留学は、単に学部の正規留学だけでなく、多様な進路やプログラムが用意されています。
学部(正規留学)
- 文系・理系・芸術など多彩な専攻から選べます。
- 基本的に3年制(イギリス式)で、2セメスター制の大学が多いです。
- 入学には高校卒業証明や成績証明、英語力の証明が必要。海外大学分校は成績基準が高い場合があります。
- 学部の専攻は入学時に決めるのが一般的で、リベラルアーツ方式ではありません。
- 一部の理系(医学・工学など)は4年以上かかることもあります。
- 優等学位取得には卒業論文などが必要で、時間が延びる場合があります。
ファウンデーション(Pre-University)コース
- 大学進学のための準備コースで、多くは大学付属のカレッジで1年程度履修。
- 成績や英語力が直接入学基準に達しない場合のステップとして利用。
- 専攻は決めなくてもよいが、進学先により履修科目が決まる場合あり。
- 大学入学前に基礎学力や英語力をしっかり固められるため、安心して学部へ進めます。


英語準備コース
- 成績は十分でも英語力が不足している学生向けのプログラム。
- 例:モナッシュ大学のMEBコースなど、半年間英語を集中して学び、その後学部へ進学。
- 英語コース中は専攻変更不可。
- 早く学部に進学したいが英語に不安がある人におすすめ。


交換留学プログラム
- マレーシアの大学は多くの海外大学と提携しており、半年〜1年間の交換留学が可能。
- 例:モナッシュ大学マレーシア校は東京大学や名古屋大学と提携。
- 留学費用はマレーシア価格で抑えられ、国際経験を積むことができます。
- 逆に、日本の大学から交換留学でマレーシアに来る人もいます。
大学院
- キャリアアップや専門性向上を目指す方に。
- 学部留学経験があると入学や適応がスムーズ。
語学学校
- 英語やマレー語を学べる語学学校も多数あり、費用は他国に比べて安価。
- マレーシア英語(マングリッシュ)は訛りがあるため、純粋なネイティブ英語習得には注意が必要。
- コスト重視で英語力アップを目指す人に適しています。
インターナショナルスクール
- マレーシアには多くの国際学校があり、英語環境で教育を受けられます。
- 物価の安さも相まって、子どもの英語教育を検討する親御さんに選ばれています。
その他:マレーシア独自の教育プログラム
- ツイニングプログラム
マレーシアと海外の大学で学期を分けて過ごし、最終的に海外大学の学位を取得。 - ADTP(American Degree Transfer Program)
マレーシアで学んだ後、アメリカやカナダ、ニュージーランドの大学に編入可能。 - デュアルディグリー
2つの大学の学位を同時取得できるプログラム(例:Sunway大学×Lancaster大学)。 - ダブルディグリー・ダブルメジャー
異なる専攻を2つ取得。卒業に時間がかかるが専門性を高めたい人向け。 - 本校との交換留学(海外大学分校)
分校から本校や他キャンパスへ交換留学ができるプログラム。学費はマレーシア価格で負担が軽減。
このようにマレーシアの大学は、多様な進路やプログラムを提供しており、留学目的や学力、予算に合わせて選択できるのが大きな特徴です。
受験方法・出願要件・スケジュール
受験で重視されるポイント
マレーシアの大学受験で評価されるのは、基本的に高校の成績のみです。
アメリカのようにエッセーや課外活動、推薦状、SATなどは不要な場合がほとんど。そのため、日本の大学受験で思うような結果が出なかった人でも、マレーシアへの進学を目指すケースが多いです。


出願に必要な書類
- 高校の成績証明書(和文・英文の両方用意しておくと安心)
- 高校の卒業証明書(和文・英文の両方用意しておくと安心)
- 英語能力証明書(主にTOEFLかIELTSが一般的)
- IELTSは日本人に特に人気。IB(国際バカロレア)も認められる場合あり。
成績証明書や卒業証明書は和文・英文の両方を用意する必要があるため、余裕をもって学校に依頼しましょう。作成には2週間程度かかることが一般的です。
出願要件
- 高校成績基準
多くの大学で5段階評価の3.0以上が目安。大学によって明確な基準は異なります。
海外大学の分校や世界ランクが高い大学ほど高い成績が求められます。 - 英語成績基準
IELTSで5.5以上が一般的な入学基準。
ただし基準に満たなくてもファウンデーションや英語準備コースからスタート可能です。 - 仮合否診断制度
出願前に合格見込みを確認できるサービスがある大学もあります。
例えば高校3年生の春頃に利用すれば、「このままいけば合格可能」「もう少し成績が必要」などのフィードバックがもらえます。
出願方法
- 多くは大学の公式ウェブサイトの出願ポータルから行います。
- 必要書類をアップロードし、合否結果を待つ流れが一般的。
- 出願料は大学や方法により異なり、無料の場合もあれば6,000~10,000円程度かかる場合もあります。
- エージェントを利用して代行する方法もあります。
入学スケジュール
- マレーシアの大学は日本のように春入学のみではなく、年間複数回の入学時期があります。
- 例:モナッシュ大学は2月・7月・10月、HELP大学は年間5回の入学時期があります。
- 学生ビザの発行に2〜3か月かかるため、渡航予定の3〜4か月前から出願を始めるのが理想的。
- 日本人は高校卒業後の7月や9月入学が多く、3月〜5月頃に出願が集中します。
注意点
- 国立大学や人気大学は日本人留学生の受け入れ枠が決まっており、早めに募集が締め切られる場合があります。
- 合格後はオファーレターを受け取り、学生ビザの申請を行います。ビザが許可され次第渡航可能です。
- 現地到着後はオリエンテーションに参加し、正式に留学生活が始まります。
マレーシアの大学入試は日本と比べてシンプルで、柔軟なスケジュールがあるため、渡航計画を立てやすいのが特徴です。早めの準備を心がけましょう。
授業料や生活費はどれくらいかかる?
マレーシア留学で最も大きな費用は授業料ですが、国立大学なら年間約30万円と非常に安く、私立大学や海外大学の分校では年間80万円〜150万円ほどかかることもあります。
例えば、モナッシュ大学のコンピューターサイエンス専攻では年間約170万円ですが、これはオーストラリア本校に比べて約3分の1の費用です。
生活費は家賃、食費、光熱費、交通費、通信費などを合わせて、生活スタイルによりますが月5万円〜10万円程度が目安です。家賃は学生寮やシェアハウスで抑えられ、食費は自炊中心なら2万円程度で十分です。外食も安く、食費に大きな差はありません。その他、娯楽や雑費も含めて無理なく生活できます。
これらを合わせて3年間学費+生活費を計算すると、東京の国公立大学で一人暮らしをする費用とほぼ同じか、それ以下で卒業可能です。
詳しい費用の内訳や生活費の実例、節約術については以下の記事で詳しく紹介していますので、参考にしてみてください👇


終わりに
いかがでしたか?マレーシア留学には、費用面や教育の質、多様な文化体験など、多くの魅力があることがお分かりいただけたのではないかと思います。東南アジアの中でも特に発展している国で、世界的に評価される大学が多数あり、英語で学べる環境が整っています。
また、学費や生活費のバランスが良く、日本の大学よりも効率的に学位取得を目指せる点も大きなメリットです。多様なカリキュラムや進学ルートが用意されているため、自分の学力や目的に合わせた留学プランを立てやすいのも魅力です。
これから留学を検討する皆さんが、この記事を通じてマレーシア留学のイメージをより具体的に持ち、自信をもって一歩を踏み出せることを願っています。ぜひ、マレーシアを進路の選択肢の一つとして加えてみてくださいね。