簿記2級について調べると、「難しすぎる」「連結会計で詰む」「2か月は必要」などという声がかなり多く出てきます。
ですが、実際に勉強して受験してみた結果、私自身は 「そこまで難しくは感じなかった」 というのが正直な感想でした。
簿記2級は、工業簿記・商業簿記ともに「最初は分からないが、構造が見えた瞬間に一気に簡単になる」というタイプの試験だと感じています。イメージで理解してしまえばそこまで難しい試験ではありません。
というわけで、この記事では、
- なぜ簿記2級が「難しい」と言われがちなのか
- 実際にやってみて感じたギャップ
- 相性が良い人・悪い人の違い
- 「恐れすぎなくていい」と思った理由
を中心に書いてみようと思います。
これから簿記2級を受けようか迷っている人や、難易度にビビって手が止まっている人に向けた内容です。

なお、この記事では考え方・全体像・難易度感を中心に書いていますが、
実際に
- 何日目に何をやったのか
- 商業簿記が解けなかった期間をどう突破したか
- 模試4点から本番80点までの具体的な修正
- 試験当日の大問ごとの時間配分と解いた順番
といった 「具体的な行動レベルの話」 は、noteにまとめています。
再現性を重視した内容なので、短期合格を狙う人には特に参考になると思います。
なぜ簿記2級を受けようと思ったのか
特に深い意図があるわけではなく、面白そうだったからです。
この前の大学の長期休みで簿記3級を受験したのですが、とても楽しかったので、もっと簿記について深く勉強したいなと思いました。
普段は海外に住んでいるのですが、せっかく日本に一時帰国で戻ってきたタイミングだったのと、友達も受験するわと言っていたので、受けてみようかなと思いました。

勉強開始時点の自分のレベル
一応簿記3級は1年ほど前に取得していました。
こちらは約30時間の学習で97点合格をしていたため調子に乗っていたのですが、もうすっかり用語などは忘れてしまっていました。
とはいえ、やっているうちに思い出すかなと思って、特に簿記3級の復習はせずにそのまま簿記2級の勉強をすることにしました。
合格までの概要をざっくり
合格までにかかった時間
- 学習期間:1週間ちょっと
- 総学習時間:70時間ちょっと
- 結果:80点で合格
1週間ちょっとで合格とはいえ、大学が休みだったので、1日10時間ほどは勉強することができる環境にあったということは書いておきます。
社会人の方などは、毎日確保できる勉強時間に応じて本番までのスケジュールを見積もっておけば良いでしょう。


使った教材は3冊
使った教材は以下の3冊です。

まずは「スッキリわかる」シリーズのテキスト。商業簿記と工業簿記それぞれ買いました。
次に、同じシリーズの予想問題集。
別にこのシリーズじゃなくてもいいんですが、とりあえず簿記2級の受験に当たって、テキスト2冊(商業・工業簿記)+予想問題集(過去問でも良い)的なもの1冊は買った方がいいと思います。
まずテキストについてなんですが、商業簿記と工業簿記がまとまったものでメジャーなものはなかったはずなので、基本的に2冊買うことになります。
それでもって、テキストの問題だけだと本番と同じ形式の問題演習が不足するため、予想問題集的なものを買っておく必要があります。私は多分予想問題集がなかったら落ちてました…
どのテキストを使うべき?
テキストについては簿記3級の時は「みんほし」シリーズを買っていたのですが、なんとなく説明が冗長すぎて分かりづらかったので今回の簿記2級対策では「スッキリわかる」シリーズに乗り換えました。
同じ著者なので内容自体は変わらないのですが、こっちの方が
- 説明が簡易的でサクサク読める
- なんとなくイラストが好みだった(サンプルでも見てみてください)
- 問題が章末問題みたいな感じでバラバラにあるのではなく、テキスト編と問題編に分かれていて演習がしやすかった
などの特徴があって、私には合っていました。

まあどのシリーズでも受かると思うのでなんでもいいと思います。それっぽい売れ行きがある本の中から自分が好きなものを選んでください。
予想問題集についてもなんでもいいと思いますが、私はテキストと同じシリーズで揃えたかったのでこちらにしました。深い理由があったわけではありません。

結論:簿記2級は「人によっては」そこまで難しくない
一般に必要と言われる勉強時間は?
インターネットで見ると、
簿記3級の知識がある人で200〜350時間、全くの初学者は350〜500時間が目安
といったあたりの情報が多いです。
サイトによって書かれている情報は異なったりもするのですが、大体は簿記3級合格者で平均して300時間ほど確保するのが良いとされているようです。
ただ、私的には簿記2級は簿記3級取得後の人なら100時間もかからないと思っています。大体こういったインターネットの情報は買い被って書かれていることが多いですので、あまり恐れすぎる必要はない、というのが個人的な意見です。
簿記3級から受験すべき?
簿記は2級の前に簿記3級から受験することを強くおすすめします。
私自身も簿記2級の勉強を始めた際は表面的な用語などは忘れていましたが、確かに簿記3級の前提知識がないと1ページ目から置いていかれる可能性があるなと思いました。
そのため、実際に資格取得はしなくても良いので、3級の合格点程度は取れる程度の実力を身につけた上で簿記2級の勉強に入ることをおすすめします。
簿記3級の勉強方法はこちら!

「難しい」と言われる理由と、実際に感じたギャップ
簿記2級はすぐ取れるよ!などと先ほど書きましたが、簿記2級が簡単な試験だと言いたいわけではありません。
ただし、
- 簿記3級を「理解ベース」で通過している人
- 記号処理やルール整理が苦じゃない人
- 暗記より構造理解が得意な人
こういうタイプの人にとっては、簿記2級は「必要以上に怖がられる試験」だと思いました。
簿記2級が難しいと言われる理由は、だいたい次の3つです。
- 商業簿記の範囲が一気に広がる
- 連結会計という新概念が出てくる
- 工業簿記が未知で拒否反応を起こす
ただ、実際にやってみて感じたのは、
- 工業簿記は解き方がある程度決まっており、問題数をこなせば安定する
- 連結会計は、仕組みを図で理解できればそこまで難解ではない
- 本当にキツいのは「わからない状態で問題を解こうとする時間」
という点でした。
恐らく多くの人が簿記3級を暗記ベースで無理やり「この問題はこうやって解けば良い」などと考えて解いているため、簿記2級になった際に混乱してしまうのだと思います。
簿記2級は3級のちょっとした延長のような内容であったため、簿記3級を暗記ではなく理解で乗り切っている人なら大して難しく感じないはずです。
全体戦略として意識していたこと
合格までの大枠のスケジュール
9日間の学習計画を立てました。それぞれの日付でやったことを大まかに書くとこんな感じ。
- 1~3.5日目
- 工業簿記のテキストを二周
- 2.5~6日目
- 商業簿記のテキストを一周+半周(最後までやる気力がなかった)
- 7日目
- 模擬試験受験(4点しか取れなくて焦った)
- 商業と工業のテキストをざっと読み直す
- 仕訳の練習を徹底的にした
- 8~9日目(試験当日まで)
- 予想問題集を二週
こちらのスケジュールで合格することができました。
意識したこと
細かいスケジュールや解法はnoteに譲りますが、こちらも大体の戦略だけ書きます。
- 分からなくてもテキストを一周して、問題演習で不明な時に都度テキストに戻って理解する
- 完璧な理解よりスピード重視で、テキストを何周もする
- 暗記ではなくイメージで理解する
- 「連結会計を捨てる」などの合格目的なことはせず、全部を満遍なくできるようにする
特に他の方と違うアドバイスは、
「連結会計を捨てる」などの合格目的なことはせず、全部を満遍なく7割(合格点)以上できるようにする
というところだと思います。
たまに合格点が取れればいいから「連結会計は捨てよう」などと言っている人がいますが、
- せっかくの資格試験なのに、合格目的で理解を疎かにするのは人生的に勿体無い
- 連結会計に限らず多様な問題が出るため、ヤマを張らずに満遍なく8割程度の完成度にしておいた方が結果として合格点が安定する
からです。
簿記2級では多様な問題が出るとはいえ、簿記の概念をしっかり理解していればちょこっと処理方法や仕訳を変えるだけで大体の問題が解けるようになるため、完璧でなくてもいいので、ヤマなどは張らずに理解ベースで全体の学習を進めていきましょう。
合格してみての感想と振り返り
一番印象的だったのは、最後の数日で一気に点と点がつながった感覚です。
テキストを読んでいる段階では不安でも、過去問・予想問題を回すことで急に視界が開けました。試験前日と試験当日に「あ、これってこういうことか!!」が連発してとても楽しくなってきました。簿記2級は、「理解→問題演習」で化ける試験だと思います。
また、有価証券や外貨取引、リース取引などの具体的な論点がたくさん出てきたため、内容も実用的で面白かったです。経営者の視点がちょっと分かるようになった気がするので、資格は取らなくても勉強をするだけでも人生的に意味があるなと思いました。
終わりに
こちらの記事は「自分にも短期間で簿記2級の合格はできるかもしれない」と思ってもらうために書きました。とても楽しくて内容も面白い試験だったので、ぜひもっと多くの人に簿記2級を受験してもらえればなと思います。
なお、
- 具体的な日別スケジュール
- 各大問の考え方
- 試験当日の動き方
- 時間配分や捨て判断
などの再現性が高い部分は、noteに別途まとめています。こちらも本気で短期合格を狙う人の参考になれば嬉しいです。

