モナッシュ大学に留学する日本人の多くは、「この分野を極めたい」という強い目的を持って入学しているわけではありません。むしろ「海外大の肩書きが欲しい」「就職で不利にならなければいい」という動機が一般的です。
そうした前提に立つと、文系を選んだ方が圧倒的にお得で楽というのが現実です。本記事ではその理由を解説しつつ、最後に「理系が向いている人」の特徴も紹介します。
大前提、自分がやりたい学問で大学やコースを選ぶべきだと思います。ただ、それを差し引いた上でもそういう現状はあるので、率直な意見として本記事を書いてみることにしました。

前提:日本人留学生の現実
大半の日本人学生は入学する前に、「将来はこの分野でキャリアを築きたい」といった明確な意思を持っているわけではありません。
- とりあえず名門海外大を卒業したい
- いい感じの就職先に入れればいい
そんな考えで入学する人が多数派です。
世界36位と聞くとさぞ志が高い学生がいるんだろうなと思いますが(最初はそう思っていました)、実際は入学するだけなら誰でもできるので、「単位ギリギリ取れた、あぶね〜良かった!」みたいなことを言っているThe大学生みたいな日本人も多いです。
この前提を踏まえると、制度的にも生活的にも、モナッシュ大学では文系を選ぶ方が合理的だと言えます。
前回は理系も文系も大変さは人によるし変わらん!という主張だったのですが、こうした前提に立つと文系の方が良いのかなと思いました。

文系選択にする方が合理的な理由
授業数の差
文系も理系も、1学期で4科目を履修します。
文系は基本的に1科目につき1授業のため、週4コマになります。一方、理系は実験や演習クラスが加わるため、基本は1科目2コマ、科目によっては3, 4コマあったりもします。その関係で、平均すると理系の方が文系の2.5倍ほど授業数が多いです。
学費は大して変わらないので、授業時間で見れば理系の方がお得という見方もできます。しかし、予習する量や課題の量自体はそこまで変わらないわけなので、ただ卒業できればいいと思っている学生からしたら文系の方が楽です。
実際、留学エージェントや大学職員、先輩学生も「理系は大変」と口を揃えています。全員が両方を経験しているわけではありませんが、多くの人がそう言うからには何かしらの理由があるのでしょう。
また、実際に遊びまくっている学生は文系の方に多いです。学生の気質みたいなものもあるのかもしれませんが、それを考慮しても理系はタイトなスケジュールになりやすく、遊ぶ余裕が少ないのも事実です。

課題と成績評価
課題の性質について
理系の場合は数学の問題やプログラミングの課題を提出することが多いので、内容は難しいですが、内容を理解している人であればすぐできて作業量自体は少ない感じです。
課題の性質上、理系はしっかり内容が合っていれば、先生の主観などを介さずにかなり高得点がもらえますが、逆に0点もあり得ます。
文系の場合はエッセイやプレゼンテーションの課題が多いので、内容が難しいというよりは手を動かす量が多くて大変だと思います。
ただしChatGPTなどを使っている学生も少なくはないので(バレたらヤバいですが、実際います)、AIの得意分野であるエッセイやプレゼンテーションの台本作りを活用すれば、実際に手を動かす量もそこまでないんじゃないかと思います。
そして、文系のこういった課題は先生の主観が入りやすいので高得点は結構取りづらい印象がありますが、割とテキトーにやっても割と平均点くらいはもらえます。
そのため、高得点が取りやすいが0点のリスクがある理系と、平均点を取りやすいが高得点が取りづらい文系という風に見ると一長一短な気がします。
しかしながら、ほとんどの日本人は卒業できれば良い、つまり単位が取れればいいと思っているわけなので、高得点が取れないことはデメリットになりません。
こういう意味でも、とりあえず卒業がしたいという人にとっては文系の方が簡単と言えるでしょう。
ハードル科目について
また、文系にはハードルがありません。
ハードルというのは、それぞれの科目でいくつかの課題や試験につけられている最低限のボーダーラインのことで、それをパスできないと全体の成績がいくら良くても単位がもらえません。
例えば、「エッセー課題2」が50%のハードルに設定されている科目があったとすると、その課題で30%とかを取ってしまったとすると、他の課題の成績が良くて全体だと80%の成績だったとしても落単になってしまうということです。
理系科目にはこちらのハードルが存在することがほとんどです。また、最終試験がハードルのことも多いため、最後まで気を抜けません。一方、文系の科目にはこちらがないことが多いため、単位取得が理系よりも容易になっています。
ただし、理系においても2025年3月1日から新規ユニットで廃止、2026年12月31日までにすべてのユニットから撤廃予定だそうです。
卒業要件の卒論やインターンの要件ついて
理系だと卒業プロジェクトがある学部も多いですが、文系にはないことが多いです。
また、理系の場合は3か月以上の連続したインターンを長期休暇中に行わないと卒業ができないのですが、文系の場合はインターンをしなくても代わりに何らかの授業を学期中に受ければそれが免除される、などの選択肢があります。
授業内容の専門性
理系の授業はかなり専門的な内容をやっていて難しい数式なども含まれていました。
一方、友達にスライドを見せてもらったところ、文系は専門知識がなくても「読めばまあわかるよね」みたいな内容が多かったので、専門性でもかなり差があるんじゃないかと思っています。

交換留学のしやすさ
文系は交換留学に行きやすいです。交換留学は大学2年生以降に行くことができて、オーストラリアの半年と他の海外大学の1年間で最大1.5年留学することができます。
他の海外大学の留学は2年生の後期からでないと行くことができませんが、理系は最後の1年間に卒業プロジェクトがあり、交換留学に行くことができません。
そのため、文系は1.5年間留学することができますが、理系はできたとしても1年間の留学(オーストラリア半年と他の海外大学半年)しか行くことができません。
実際は他大学への留学手続きが大変なので、現実問題理系ではオーストラリアにしか行かない人が多いです。そう考えると文系は他大学への留学制度も利用しやすいので良いと思います。

こういう人は理系がおすすめ!
以下の条件に当てはまる人は理系がおすすめです。
- コンピューターサイエンスや工学など、明確に学びたい分野がある人
- 正解がはっきりした科目で高得点を狙いたい人
- 実験やレポートをコツコツ続けられる人
- 将来的に大学院進学や研究職を目指す人
- 英語でエッセイを書くよりも、数理や論理が得意な人
モナッシュ大学を卒業すれば、文系でも十分に大手企業には就職できますので、特に何か暗い未来が待っているとかそういうことはありません。
ただし将来的な年収の伸びしろや専門職キャリアでは理系の方が有利です。AIやデータサイエンス、工学などの分野で専門性を磨きたいなら理系を選んだ方がいいでしょう。
まとめ
本来は自分のやりたい学問で学部を選ぶのがいいと思いますが、実際はそうでない日本人も多いですし、高校生の段階ではまだそこまで決まっていない人も多いと思います。
しかしながら、比較的負担が少ない文系を選択してもモナッシュ大学卒業という肩書きは取れるので、明確な目的がない大多数の日本人には文系の方が向いていると言えるでしょう、というのが本記事の結論です。
というか正直、
- 授業の数も半分以下
- 単位を取るだけなら理系よりも簡単
- 卒論もなくてインターンも必須ではない
- 交換留学も行きやすい
などの側面を考えると、同じ学位を取得するという側面においては文系が優遇されすぎな気がして、理系としては正直不満です。ここは大学側に何とかしてもらいたいものです。


