マレーシア留学であまり知られていない重要な制度上の違いがあります。それは、モナッシュ大学の学部では自動的にHonors(優等学位)が付与されないという点です。
この仕組みを知らずに大学院進学を考えると、「え、あと1年必要なの?」という事態になりかねません。
私自身、これについて入学後に気づいたのと、今までどの留学エージェントやブログも触れてこなかった内容なので、参考になるかと思います。
特に研究志望の人やアカデミアを目指す人は、必ず理解しておくべき内容です。
Honors(優等学位)とは?
Honors(Hons)とは、主にイギリスやオーストラリアで使われる学位制度で、「優秀な成績で学士課程を修了した」ことを示す称号です。
英語では、Bachelor of Science (Hons) や Bachelor of Engineering (Honours)のように表記されることが多く、海外大学では非常に一般的な区分です。
ただし、付与の仕組みは国によって異なります。
- イギリス式:3年の学士課程を修了すれば自動的に付与
- オーストラリア式:3年修了後、さらに1年のHonorsコースを履修して取得
この違いが、大学院進学時の条件や難易度に直結します。
モナッシュ大学では自動的にHonorsが付与されない
教育制度の問題
モナッシュ大学はオーストラリア式の教育制度を採用しており、通常の3年制コース(情報学部・商学部・ビジネス系など)を修了してもHonorsは付きません。
研究職や大学院進学を目指す場合は、もう1年かけてHonorsコース(4年目)を履修する必要があります。
工学部など一部では例外もある
工学部などの一部専攻では、最初から4年制のカリキュラムが設定されており、卒業時にBachelor of Engineering (Honours) のようにHonorsが自動的に付与されます。
ただし、これは例外であり、多くの学生が在籍するビジネスやコンピューターサイエンスなどの3年制コースでは対象外です。多くの留学生がこの点を知らず、後から進学時に「自分の学位にHonorsがない」と気づくケースもあります。
例:https://www.monash.edu.my/study/undergraduate/engineering/bachelor-of-biomedical-engineering-honours

大学院進学にはHonorsが重要
大学院には2種類ある
大学院には大きく分けて2つの種類があります。
- Coursework(授業中心の修士)
- Research(研究中心の修士・博士課程)
このうち、Research型の大学院に進むためには、Honors修了がほぼ必須です。
3年制コースだけを終えても、そのままでは研究課程に進学できません。多くの場合、1年のHonorsコースまたは修士準備コース(pre-master)を経てからの進学になります。
成績優秀者への特例も一応はある
もちろん、WAM(GPA)が非常に高い学生や教授推薦を受けた学生であれば、Honorsを経ずにResearch課程への進学を認められる例もあります。
また、Coursework(授業中心の修士)であれば、Honorsを求めないプログラムもあります。
とはいえ、研究職や博士進学を考えている人はHonors前提で動く方が安全です。
博士課程に進学したりする場合はコースワークではなくリサーチに進学する方が圧倒的に有利です。また、リサーチの方が同じ修士号でも箔がつく業界もあります。
飛び級進学はかなり厳しい
私自身も、課外活動や研究系コンテストの実績をもとに、Honorsを経ずにResearch課程へ進めないか相談しましたが、
大学側の反応はかなり慎重でした。
オーストラリアの大学は制度や要件に非常に厳格で、特例や飛び級が通りにくいという印象があります。他の海外の大学に比べると柔軟性が低く、ルール重視の文化です。
このため、「成績優秀+実績ありだからなんとかなるだろう」という考えは、通用しない場合もあることを念頭に入れて動く必要があります。

なぜ今まで誰も言ってこなかったのか
こうした情報があまり共有されてこなかったのは、隠されていたからではありません(多分)。単に、日本人留学生の多くが文系で、大学院進学を視野に入れていないという背景があるためです。
実際、マレーシアにいる日本人留学生で「大学院に進みたい」と考えている人はごくわずか。
日本人留学生は大体が文系の人たちなので、大学院に行きたいという人はほぼ見たことがありません。マレーシア留学→大学院進学、の情報がネットに無さすぎる!!
そのため、エージェントや大学の説明でもHonors制度が話題に上がることはほとんどありませんでした。
ただし、研究志望の学生にとっては、この1年の違いがキャリアを左右するほど重要です。制度を理解せずに卒業を迎えてから気づくと、取り返しがつかなくなるケースもあります。
モナッシュ以外の大学でも同様の注意が必要
オーストラリア系大学は同じ制度(?)
マレーシア国内には他にもウーロンゴン大学(University of Wollongong)などの他のオーストラリア系の大学もあります。
ただ、なぜかウーロンゴン大学の一部のコースでは3年でHonorsが取得できたりもするようですので、志望するコースごとにチェックしておくほうが安全でしょう。
例:https://www.uow.edu.my/programme/bachelor-of-business-hons/
イギリス系大学は異なる仕組み
一方で、イギリス系の大学(Nottingham、Heriot-Wattなど)は、3年間の学士課程を修了すると自動的にHonorsを付与します。
例:https://www.nottingham.edu.my/ugstudy/course/computer-science-with-artificial-intelligence-bsc-hons
そのため、大学院進学時の扱いがオーストラリア系とは大きく異なります。同じ「マレーシア留学」でも、採用している教育制度の国によって進学条件が変わる点には注意が必要です。
まとめ:研究志望なら早めにHonorsを意識
もしあなたが、
- 将来的に大学院で研究したい
- モナッシュ本校や他国の研究型大学院に進学したい
と考えているなら、早い段階からHonors取得を前提に計画を立てておきましょう。
就職やコースワーク中心の修士を目指す人にはそこまで大きな影響はありませんが、研究型志望者にとっては知らないと1年ロスする可能性があるほどの重要な違いです。
モナッシュやオーストラリア系大学を目指している人は、ぜひこの点を頭の片隅に入れておいてください。知っているかどうかで、将来の進路が変わります。