マレーシアでは、イスラム教徒にとって特別な月「ラマダン」が毎年訪れます。この期間、日の出から日没まで断食を行い、精神を清めることが大切とされています。
国民の多くがムスリムであるマレーシアでは、社会全体の雰囲気も少し変わります。というわけで、今回はラマダンの文化や大学の学食、街のご飯屋さんの様子を紹介し、非ムスリムがラマダン期間を過ごす際のポイントなどを解説していこうと思います。

マレーシアのラマダンとは?
ラマダンは、イスラム教の五行(五つの義務)の一つで、日の出から日没まで飲食を断つ期間です。ただし、日没後(イフタール)と日の出前(サフール)には食事をとります。
断食は欲を抑え、精神を清めるための修行として行われます。マレーシアではラマダン中、会社や学校でのスケジュールが調整されることがあり、ムスリムの社員や学生は通常より早く帰宅することもあります。
また、夕方になると「ラマダンバザール」と呼ばれる屋台市場が各地に出現し、日没後すぐに食べられる料理が販売されます。



私もラマダンバザールに行ったことがあるけれど、ご飯を無料で分けてくれることも多くてみんな優しかったよ!




ラマダン中の過ごし方
日中は断食をしているムスリムが多いため、街全体がやや落ち着いた雰囲気になります。
オフィスや学校では、ランチに出かける人が減り、飲食店の利用も少なくなります。一方、非ムスリムは通常通り食事をとることができますが、公共の場での飲食には配慮が求められます。
日没が近づくと、街の雰囲気は一変。多くの人がイフタールに向けて準備をし、レストランや屋台が賑わいます。特にラマダンバザールでは、ナシレマッ、サテ、甘いデザートなどが豊富に並び、ムスリム・非ムスリム問わず人気です。



水も取れないので、昼寝をしたり外を出歩くのを控えるムスリムもいるそう。
大学からもラマダンの時期を知らせるメールが来たりします。


ラマダン期間中の大学の学食はどうなる?
大学では、ムスリムの学生は日中に食事をとらないため、昼休みに学食を利用する人が減ります。
しかし、サンウェイエリアのように中華系の学生が多い地域では、学食の営業に大きな変化はありません。通常通りメニューが提供され、非ムスリムの学生たちは普段通り食事をとっています。
サンウェイカレッジとモナッシュ大学の食堂はこんな感じ(平日のお昼)。




街のローカルのご飯屋さんの様子(日曜日のお昼)。


こんな感じで、普通にご飯を食べている人もいるので、日本人の場合は特別な生活の変化はないケースが多いと思います。
一方、ムスリムの学生は断食を続けながら授業を受けるため、午後の講義ではエネルギー不足を感じることも(モナッシュ大学ではムスリムの学生はあまり多くはありませんが)。
ムスリムの人は割と異教徒に理解がある人が多いので日本人がご飯を食べていても怒ってきたりはしませんが、ムスリムの人に対して配慮をしつつ、互いに思いやりを持って過ごすことも大切です。



せっかくの機会なので、ラマダンに挑戦してみるのもいいかも
ラマダン期間中にマレーシアで過ごす際のポイント
ラマダン期間中にマレーシアで過ごす際の注意点やポイントをいくつか挙げていこうと思います。
まずは公共の場での飲食に配慮することです。ムスリムの前で食事や飲み物を口にする際は、さりげなく配慮を。食事が必要な場合は、人目につかない場所でとるほうがよいかもしれません。



ムスリムの友達に聞くと「別に非ムスリムの人がご飯食べてても気にしないよ~」というスタンスの人が多いですが、一応…
また、昼間に営業している飲食店を上手に活用しましょう。中華系やインド系のレストラン、ショッピングモール内のフードコートは通常通り営業しています。飲食できる場所を事前にチェックしておくと安心です。
ハリラヤ期間の影響にも注意が必要です。ラマダン明けには「ハリラヤ(イード・アル・フィトル)」という祝祭があります。帰省ラッシュにより交通が混雑し、休暇期間中は多くの店が閉まるため、旅行者は事前の準備が必要です。
終わりに
マレーシアのラマダンは、宗教的な意味合いを持つと同時に、社会全体の文化として根付いています。
異文化を尊重しながら過ごすことで、より深い理解と交流が生まれるでしょう。もしラマダン期間中にマレーシアを訪れる機会があれば、現地の雰囲気を楽しみつつ、思いやりの心を持って過ごしてみてください。ラマダンに挑戦してみるのもいいかもしれません。