私はモナッシュ大学のファウンデーションコース(MUFY)に通っており、先日無事に2学期目がスタートしました。
が、実のところファウンデーションコースから入ったことをかなり後悔しています。マレーシアだとファウンデーションコースから入学する人も多いとは思いますが、正直あまりおすすめできる選択肢ではないというのが個人的な考えです。
そこで今回は、私がファウンデーションコースがおすすめしない理由をご紹介します。
他の国でもファウンデーションコースからの入学を検討している人は多いと思いますので、反面教師として参考にしていただければなと思います。
あくまで個人の意見&マレーシア留学での感想ですので、その点だけご注意ください。
私がファウンデーションコースを選んだ理由
まず、そもそも私がファウンデーションコースからの入学を選んだ理由について簡単に説明します。
理由は大きく3つあります。
- いきなり学部の授業についていけるか心配だった
- 進路を考え直す時間が欲しかった
- マレーシアの生活に慣れたり、大学の様子見がしたかった
どういった進路選択にせよコンピュータサイエンス学部に行きたいというのは決まっていましたが、どうしても高3で大学選びに葛藤が生まれました。その時に学部入学を決定する気になれなかったため、言ってしまえば選択肢を先延ばしにしたという理由が大きいです。
理由を詳しく知りたい人はこちらの記事を読んでみてください。
ファウンデーションコースをおすすめしない理由
私がファウンデーションコースに入って後悔している理由は以下の通りです。
- 授業が簡単すぎて、学部入学の役に立たないから
- 特に英語力が伸びるわけではないから
- 思っているより教育の質が高くない場合もあるから
これらを総合的に考えると、お金と時間が勿体ないし、学部に直接進学できないとしても宅浪したほうがいいよね、という考えに至りました。
授業が簡単すぎて、学部入学の役に立たないから
一学期目は以下の科目を履修していました。
- 英語
- 数学
- 上級数学
- ICT
ですが、それぞれ内容が簡単なのでやらなくても変わらない気がします。
英語については後のセクションで書きますが、例えば数学と上級数学に関しては教科書の例題レベルのことしかやりません。行列は新しく習いましたが、それ以外の分野は基本数学1A~3までの内容なので高校で既習ですし、面白くありません。
ICTはExcelの使い方や、Scratchを使った簡単なプログラミング、HDD, SSDとは何ぞやといったことを勉強しました。これについてもネットで少し調べるかパソコンをちょっと触っていれば知っているであろう内容でした。
学力面が不安だからファウンデーションコースから入る人もいるとは思いますが、この内容だと特にやっても学部入学後の助けにはならないんじゃないかと思います。
英語の専門用語を学べるのはメリットかとは思いますが、やる気があればCourseraやカーンアカデミーで日本で自習することもできます。特に理系の数学や物理だと英語要素が少ないので、効果も低くなります。
特に英語力が伸びるわけではないから
英語力を伸ばすためにファウンデーションコースから入学するという人もいるかと思いますが、マレーシアに留学していて英語力が伸びた実感は今の所全くありません。
英語の授業では、IELTSでやったようなエッセーを書いたり、環境問題についての数分のプレゼンをしたりしています。IELTS5.5の人ならきちんとついていけると思います。
こちらは先生の添削などもしっかりしてはいるのですが、毎日たくさんの課題が出たりすることもなく、緩いです。学習ペースが遅いのでそこまでアカデミックライティングの力が伸びるわけでもないと思います。
また、毎日の生活面でも英語力はあまり伸びていません。
マレーシア人の英語の発音(訛り)は良くも悪くもアジア人っぽいため、想像しているような英語ネイティブには出合いません。また、英語は第二言語として習得した人が多いからか、比較的簡単な語句を使って会話を成立させようとする傾向があります。
そのため、日常生活でも留学の醍醐味であるリスニング、スピーキングは成長している実感がありません。
実際に先輩に聞いてみても、マレーシア留学で英語力は伸びなかったという人も多いです。
それであれば、自宅でオンライン英会話などを活用して英語学習をしたほうが効率的だと思います。もしくは、大学付属の英語専用コース(モナッシュ大学でいうところのMEB)に入学したほうが費用も時間も抑えられます。
思っているより教育の質が高くない場合もあるから
ファウンデーションコースとはいえある程度の学費を払うことになりますが、それに見合った教育レベルなのかと言われると若干疑問があります。
授業
まずは授業について言うと、例えば私が履修していた英語の授業は態度がひどかったです。
授業はほとんどがエッセーなどの作業時間で意見交換の時間などはあまりありませんでしたし、授業中にふざけている男子がたくさんいても先生も誰も注意していませんでした。あまり学びのための環境は良くなかったです。
また、先生によってかなりの当たり外れがあります。
一つ文法ミスがあっただけでめちゃくちゃ減点してくる先生もいれば、いくつかミスがあっても満点をくれる先生もいます。私は当たりの先生だったのでラッキーでしたが、友達の話を聞くと結構差があってひどいなと思いました。
テキスト
また、数学のテキストは市販でない学校オリジナルのものを使用しているのですが、作りが雑です。
- 数学の問題の模範解答が間違っているのに改定されていない
- フォントが雑でxの二乗がx^2と表記されている
- 説明のためのグラフがパソコンで作成されておらず、手書きのグラフの写真が張り付けてある
などです。いろいろテキトーに作られているなと思いました。
学校の規則
こちらは私の在籍している大学の問題かもしれませんが、問題・回答ともに返却されないためテストの振り返りができません。合計得点しか公表されないためどこを間違えたのかも分からないですし、採点基準も不明瞭です。
大学側に聞いてみましたが、問題流出を防ぐためにこういった規則になっているそうです。解き直し、振り返りすらできないので学力を向上させようがありません。
また、授業終了時間がそのまま次の授業開始時間になっているため休み時間がないことも問題です。
10分以上遅刻すると欠席扱いになるため、教室が離れている時などはトイレに行く暇がない時もあります。
ファウンデーションコースに向いている人、いない人
悪い点ばかり書いてきましたが、逆にこんな人はファウンデーションコースからの入学がおすすめです。
言わずもがな、イギリスなどの直接学部に入学することができない国の大学に入りたい人はファウンデーションコースが必須となります。
- 高校の成績が低い人
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ファウンデーションコースの入学基準は緩めに設定されていることが多いので、そもそも高校のGPAが学部入学の基準を満たさない場合の選択肢としてはアリだと思います。
これにより、高校の成績が足りていなくても希望の大学に進学することができます。
- 基礎学力や学習習慣がない人
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大学から理転して工学部に行きたいが数学3は未履修、といった感じで基礎から学び直しをしたい人にはおすすめです。大学での学習習慣を確立しつつスムーズに学部での学びについていけるようになるでしょう。
- 進学したい学部が決められない人
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まだどの学部に進学するかが決められない人は、ファウンデーションコースに在籍しながら先輩からの口コミを集めたり授業の雰囲気を見たりして学部選びをすることもできます。
- 学部でも助けてくれる友達を作っておきたい人
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学部になると予習・オンライン授業の割合が増える関係で大学に通う日数が減るので、友達が作りづらくなるそうです。
ファウンデーションコースの時に仲良くなった友達とは学部入学後もいい関係を保てているという話をよく先輩から聞くので、人脈を広げたい人にはおすすめです。
- マレーシアでの生活に慣れたい人
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学部に入学すると初っ端から大忙し、という話を先輩から聞きました。
私も最初の3ヶ月くらいは体調を崩しまくりだったので、ある程度暇があるファウンデーションコースのうちにマレーシアでの生活に慣れておくと学部でも成績を維持しやすいのかなと思います。
- 大学に関する全ての不安を解消しておきたい人
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こんなことを書きましたが、頭では分かっていてもいざ留学となると不安でいっぱいな人も多いと思います。
私も海外大学の授業を受けたことがないから心配、大学の雰囲気が分からない…といった感じで学部入学を渋ってしまった面もあるので、どうしても心配な人はファウンデーションコースから入学しても全然OKだと思います。
半年留学した正直な感想
このような理由で、私はファウンデーションコースのメリットをあまり感じていません。
ファウンデーションコースとはいえ、1年間の学費で110万円以上、毎月の生活費に5, 6万円かかります。
航空券や保険代を合わせると決して安くはない金額になりますし、お金に加えて1年間という時間をファウンデーションコースのために使うことになります。
学力面でも大して学部進学の役に立つとは思えませんし、英語力もそこまで向上するわけではありません。
仮に英語力が足りなくても宅浪+オンライン英会話などの手段を取ったほうが時間もお金も節約できるでしょう(それか大学付属の英語専門コースに入る)。
また、先ほど私は進路について考えたいとの理由でファウンデーションコースを選んだと書きました。
ですが、夏に渡航すると生活に慣れる時間も必要ですし、その時期から他の海外大学進学を目指すとなると実質的に進路を時間はないも同然です。
それだったら、直接学部に進学するか日本でギャップイヤーを取ったほうがよっぽど有意義だった気がします。
そのため、最終的になんらかの事情でファウンデーションコースに入学するのはいいと思いますが、高校生の初めのうちからファウンデーションに入る前提での進路計画はしないことをおすすめします。