「研究」というと、大学生や教授が行なっている超専門的で難しそうなものというイメージがして、あまり高校生ができるような活動ではないと思う人も多いのではないでしょうか?
しかし、実は日本にはGSCと呼ばれる、高校生でも優れた研究をすることができるプログラムが存在しているんです!
今回は千葉大学のGSC2年・慶應大学のGSCに1年参加していた私が、GSC(グローバルサイエンスキャンパス)とは何なのかを説明します!
この記事のライター:Lee(インタビュー記事)
普通の公立高校出身です。中学の頃はスポーツのことしか頭になく、毎日サッカーをしていました。
高校に入ってからは英語ディベートやGSCなどの様々な課外活動に参加しました! 2024年の7月からUniversity of SydneyのBachelor of Medical ScienceでImmunologyを専攻する予定です!
GSCとは何か
GSCとは、簡単に言うと理学の教育・講座をその大学で受けることができ、さらに選抜されれば個人の研究を行うことができる、という高大連携プログラムです。
日本各地の様々な大学でGSCというプログラムは行われていますが、GSCという名前で行われていない場合もあります(例:大阪大学Seeds Program、情報科学の達人)。
また、講義は研究は実地で行われるので大学の近くに住んでいることが推奨されていますが、オンラインでの講義もあります。千葉大学のGSCには大阪の高校に通っている方や海外の高校に在籍している方もいました(実地参加の場合は交通費が出ます)。
私も別の大学のGSCに参加経験がありますが、カリキュラムなどは結構違いますね!
千葉大学GSCのホームページのリンクはこちらです。私の環境からはなぜかアクセスできないため、その場合は「千葉大学 GSC」などと検索してみてください。
千葉大GSCの特徴
千葉大学ではAscent Programは先端科学基盤コース(第一次選抜者)と課題解決力養成コース(第二次選抜者)に分けられていました。
先端科学基盤コース
こちらのコースはこのAscentプログラムに選抜された全員が入るプログラムです。
様々な講義を受けることができ、理学に興味がある友達を作れたり、大学の教授などとも仲良くなることができます。講義には必修講座と自分の関心に沿って選択できる選択講座があります。
基礎・必修講座
基礎・必修講座はその名前の通り、選抜生が全員必ず受けなければならない講座のことです。私は研究倫理やプログラミングの授業を受けました。
研究倫理の講義は大講堂で教授の講義を聞きました。その際、まだ研究がどのようなものもわかっていなかったので、研究の核の一つである倫理に触れられていい経験になりました。
プログラミングの授業はオンラインで行われました。本当に初めてのプログラミングだったのでかなり苦戦した思い出があります。
英会話
また、全員必修の英会話の授業もあります。これは生徒1人につき1人、千葉大の留学生がペアリングして決まった日にzoomで英会話をする形式です。私を担当した留学生の方はとてもいい方で英語だけではなく様々な価値観も教えてもらいました。
その中で1つとても心に残っているものは英会話をしている際に夢はなにかと聞かれた時のことです。私は高1の頃、既にやりたいことが決まっていてその事に向かって一直線に迎えるよう人生をデザインしていたのですが、今もう夢を決めるのはもったいないと伝えられました。
まだ高校も大学もあって、その中で無数に新しい天職ややりたいことができるのにもう夢を決めてしまうと選択肢が絞られてしまうとの事でした。人によってはこの意見の捉え方は変わるかもしれませんが私はいまだにこの意見をかなり大事なものだと考えています。
基礎・選択講座
私は選択講座では生物学にかなり興味があったので魚のタンパク質解析実験という講座を取りました。魚のDNAを電動ゲル泳動で分析するかなり専門的な器具を使用する実験で、とても勉強になりました。
また、もう1つの選択講座はディベート・リーダーシップ講座を取り、ディベートとリーダーシップについて学びました。
こちらの講座は2、3回ほど実施され、最終回の授業では実際に原子力発電を廃止するべきか否かのトピックでディベートをし、講座後には学んだことをプレゼンにして英語で千葉大学主催の国際研究発表会で発表しました。
課題解決力養成コース
このコースは簡単に言えば研究をするコースです。
一時選抜者(先端科学基盤コース)の中から研究に興味のあるものや、担当の教授に良い研究計画を提出した生徒がさらに選抜され、研究へと進みます。
研究に関しては生徒に研究の仮説の立て方のようなテンプレがもらえます。生徒自身が行いたい研究の計画を立てて教授に提出すれば、研究の段階に移れます。
GSCの教授が千葉大学の先生の中から行いたい研究の分野に近い先生を見つけてペアリングしてくれます。あとは実際にメールやZoomでやり取りし、研究室まで足を運んで研究を行います。
私の年はサポートしてくれるサブの教授は外国の方?なのでZoom全部英語でした。 募集要項などに英語が必要などは書かれていませんがあればかなり会議が円滑に進むと思います。
私が行っていた研究
私はハエの研究を行いました。家のキッチンにコバエがよく出るため市販のトラップを設置したのですが、よく捕まるハエと捕まらないハエがいたため、その違いは何なのかが気になりました。
専門の教授と相談してみたところ、ハエには性格(運動量)の違いがあり、それがハエがトラップに捕まる確率の違いを生み出しているのでは無いかと考えました。
私はハエの運動量の違い、つまりよく動くハエ(アグレッシブなハエと名付けました)はシャイなハエ(運動量が少ないハエ)に比べてよく餌を探し回るのでトラップに引っかかる確率が高いのではないかと仮説を作りました。
そして実際に研究室に行き、小さいボックスの中の端の方にグレープゼリーのゾーンを作り、麻酔したハエを数匹放ちました。そしてこのハエを運動量ごとに分けてこの実験を数回行いました。
正直に言うと何故か逆に運動量が小さいハエほどトラップにかかってしまうという、実際に行った研究と仮説は全く違ったのですが、いい経験になりました。実際の研究で使う専門的な器具にも触れたりすることができました。
この研究結果は英語で論文を書き、千葉大学主催の国際研究発表会でプレゼンで発表しました。
このプログラムに参加するメリット
総合的な科学に関するスキルが身につく
もちろんグローバルサイエンスキャンパスという名前もあってサイエンスに関する知識が身につきます。
教科である生物や化学のような物だけでなく、あまり高校生には馴染みのないような論理分析学や科学倫理などの授業も受けることができます。
コネクションができる
私は千葉大学の教授のコネクションに何回も助けられました。基本的に教授は優しく、「今、OOの研究に興味があり、OOの分野の教授を紹介していただけないでしょうか」などとメールを送るとその専門の教授を紹介してくれたりします。
また、私は他のプログラムに参加する際の推薦状やアプリケーションエッセイの添削を千葉大GSCで知り合った教授にお願いしたことも何度もありました。
なんといっても刺激的
こういったプログラムに参加する生徒はさまざまな分野ですごいことをしている可能性が高いです。
自分も初めて講義に行った際に英語ペラペラの超一流高校の知り合いや課外活動で世界大会に行っている友達から刺激を受けていました。
終わりに
なぜか日本ではいわゆる理系の課外活動が少ない印象ですが、こういったGSCのような研究の機会を高校生に提供してくれるプログラムも少なからず存在しています。
私はこのGSCに参加して本当に良かったなと今も心の底から思っています。理学に興味があるのであればメリットしかないので、ぜひ申し込んでみてください!
千葉大学GSCのホームページのリンクはこちらです。私の環境からはなぜかアクセスできないため、その場合は「千葉大学 GSC」などと検索してみてください。