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中華系マレーシア人を安易に「チャイマレ」と呼んではいけない理由

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先日、サイトのほうにこんなご意見が寄せられました。

言われてみれば、確かに無意識のうちに「チャイマレ」という言葉を使っていました。しかしどうやら、「チャイマレ」というのは何かよろしくない言葉のようなので、その理由を調べてみました。

すると失礼、不快という意見がいくつか見当たりましたが、理由はよく分かりませんでした。そのため、その点についてTwitter及び知り合いの中華系マレーシア人と日本人に意見を募ってみることにしました。

その結果、マレーシアの他民族国家であるという性質、文化的背景が絡んでいる非常にセンシティブな話題なのだということが分かり、チャイマレという言葉を安易に使用するのはよくないという考えになりました。
この件については私自身も文化や民族について考え直すきっかけになりましたし、他のマレーシアで生活している方の参考にもなると思い、情報共有の意味を込めて今回記事として発信することにしました。

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目次

本記事の結論

なぜチャイマレという言葉を安易に使用してはいけないのかを先にお伝えします。

主な理由としては以下のようなものが挙げられます。

  • 「マレーシア」と「マレー」は別の意味であり、「マレ」と略すると誤解が生じるから
  • 実際にそれを不快だと感じる中華系マレーシア人の方もいるから
  • センシティブな話題である中、現地人があまり用いない省略表現であるから

この件で私が学んだこと、本記事で伝えたかったことは、とある一定の民族を括るという行為は非常にセンシティブなものであり、(マレーシアに限らず)民族や文化が関係するような話題・言葉については今以上に深く考えてから発言したほうがよいということです。

もちろん最終的な判断は個人に委ねられますが、少なくとも「チャイマレ」という言葉はいつどこででも使ってよいわけではないということに気を付けたほうがよいと思います。
どうしても言いたい場合は「中華系マレーシア人」もしくは「チャイニーズマレーシアン(マレーシアンチャイニーズ)」と略さずに表現するのがよいとのことです。

なぜ私がチャイマレという言葉を使っていたのか

まず、なぜそもそも私がチャイマレという言葉を使っていたのかというと、

  • 周りの同世代の日本人の間では当たり前のように使われていた
  • 周りの中華系マレーシア人本人らも気にしていなさそうだった
  • ネット上でもこの表現を多々見かけることがあった
  • 加えて、単純に略したほうが楽である

ためです。無意識に単なる中華系マレーシア人(=チャイニーズマレーシアン)の略称として使っていました。
他の日本人との普段の会話でも「この前チャイマレの子がさ~」といった具合で違和感なく使用されていた表現で、YouTubeやTwitter上の発信でもこの言葉を目にすることは多々ありました。

そのため、普通に使う言葉なのかなと思い、中華系マレーシア人というよりもチャイマレと言ったほうが楽であるという理由でこちらの略称を用いていました

そこで彼らに「日本語には省略文化があって、君たちの呼び名を”チャイ”、”マレ”と省略することがあるんだけどどう思う?」と尋ねてみると、「基本的に問題ないし、失礼でもないよ」との回答がほとんどで、普段もあまり気にしていなさそうな様子だったため問題視していなかったわけです。
今思えば、こちらの問題は日本語という言語の性質が関係するため、日本語にそこまで精通していない彼らに尋ねたことも根本的には誤解を招いていたのかもしれません(後述します)。

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いただいた意見とその背景事情

日本語話者の方からいただいたご意見の中で、特に関係していそうなものを取り上げます。

「マレーシア」と「マレー」は別物

マレーシアはあくまで一つの国のことですが、マレーという言葉はマレー半島一帯の地域や民族のことを指すため、意味が異なります。

「(チャイニーズ)マレーシアン」を「(チャイ)マレ」と省略してしまうと、「マレ」の部分が「マレー」を連想させてしまうため、意味として不正確さを含んでしまうためよくないという意見です。

マレーシアの民族を一括りに扱うと嫌な思いをする人がいる

マレーシアはマレー系、中華系、インド系その他の民族が生活を共にする他民族国家として知られています。
しかし、実際には少なからずその民族間にはある程度の対立、壁が存在するのも事実です。ブミプトラ政策が行われていたり、様々な民族が一気に一つの国に入ってきた過去が関係しています。

そのため、マレー系と同一に扱われることを嫌う中華系マレーシア人、中華系と同一に扱われることを嫌がるマレー系マレーシア人もいます。実際に私の周りの友人でもそういった人は見たことがあります。
また、そうでなくても自身のアイデンティティがマレーにはあまりないと感じている人もいます。

こういった事情で、上記の意味の誤解も含め、実際に中華系マレーシア人の方に嫌な思いをさせてしまうためよくないという意見です。

センシティブな話題である中、現地人があまり用いない省略表現である

先述のように、中華系マレーシア人の方は確かに「チャイニーズマレーシアン」とは言うものの、「チャイマレ」と略語で自称することはあまりありません。確かに私も英語での会話の時は「チャイニーズマレーシアン」と省略せずにこの言葉を口にしていました。
現地の人が使っていない俗語を勝手に用いるのは失礼だという意見です。

それを言ったら「エアコン」なども和製英語で英語圏では使われていないじゃないかという意見もありましたが、センシティブな話題である以上、そういった例と同様に略語を使うのは相応しくないと思われます。

また、略語そのものが失礼だ!という意見もありました。若者言葉っぽい、だらしないからというよりは、民族や人の名称を指す場合は特に気を付ける必要があるのではないか、という意見です。

基本的なリスペクトが欠けている

現地の方が使用していない言葉を使っているという点もそうですが、他には以下のような意見がありました。

  • カタカナ言葉での略称を用いると多少差別的なニュアンスを含んでしまう
  • チョンなどといった他の民族差別の例を連想させてしまうためよくない
  • 自分がジャップと呼ばれたら嫌なのと同じで失礼
  • 言語化はできないが、感覚的に(品が無さそうだから?)なんとなく不快
  • マレーシア通ぶって略語(クアラ、ブキビン等)を用いる人そのものが不快

これらの意見についてはもちろん感じ方に個人差があると思いますが、結局のところはいかに現地の文化や民族に対してリスペクトを持った言動を取れるかというところに落ち着きそうです。

日本語話者の都合で表現を省略していることは事実であるため、こちらに意図的な差別意識などがなかったとしても、少なからず不快感を感じる受け手(現地の方)がいる以上そういった表現は使わないほうが無難と言えます。
実際に現地企業の経営者の方からも意見をいただきましたが、この表現が気になるという人もいるため使用しないようにしているそうです。

ジャップの例については戦後の反日意識などがあって明らかな差別用語として認識されていますが、チャイマレという略語にも同様に差別的な文脈があるのかは分かりませんでした。
おそらく前項で述べたような民族を不正確に一括りにしたり勝手に省略して呼んだりする点について、ジャップに似て差別的だと主張されたかったのだと思われます。

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本人たちはどう思っているの?

前述のように、大学の現地の友人に「チャイマレと呼ばれてどう思う?」と訪ねたところ、基本的には「事実ベースなので問題ないし、差別だと思わないよ」との回答でした。
また、「不敬とは思わないがあまり使わない表現である」「言われたことがあまりなく感情としてよく分からない」と回答された方もいるようです。

ただ、私の時は一応

  • 日本語の文化として省略できそうな言葉(特にカタカナ)は短くする傾向がある
  • その上で”チャイ”、”マレ”と省略しており、差別意識のある日本語話者はほとんどいない
  • しかしマレーとマレは違うような気もするが、それでもよいのか

という情報付きで尋ねてはいたものの、こちらは日本語の問題でもあるため、ネイティブレベルで日本語に精通していない彼らには、質問の意図とその背景までは読み取れていなかったのかもしれません。
実際、日本語にある程度精通している現地の方に尋ねてみたら「不快」「面倒だからいちいち指摘しないだけ」などの回答もあったようです。

結局どうすればよいの?

本人たちの自称としては、以下のいずれかが多いです。

  • マレーシアンチャイニーズ
  • チャイニーズマレーシアン
  • チャイニーズ

公式文書では「チャイニーズマレーシアン」と表記されるが会話では「マレーシアンチャイニーズ」のほうが多い、との情報をいただきましたが、私の周りでもそんな感じかなという印象です
そのため、「チャイニーズマレーシアン」「マレーシアンチャイニーズ」もしくはそのまま日本語訳した「中華系マレーシア人」と呼ぶのがよいとの意見が多かったです。「華人」もフラットな言い方ではあるかもしれません。

その一方で「チャイニーズマレーシアン」も嫌で「No, I’m Chinese」との回答をした友人もいましたし、

  • マレーシア国籍ではあるが、Chineseとしての誇りがある人
  • そもそも、あまり自分がマレーシア人だとは感じていない人
  • 生まれはマレーシアだが、血統的に中国人なのでChineseと呼ばれたいという人
  • 中華系はいいが、華僑、中国系(マレーシア人)と言われるのは嫌な人

などもいて、非常に難しい問題です。

同じ民族だとしても本人たちのアイデンティティは一概にはまとめられず、世代や立場によって意見がかなり変わるものなのだと思います。
もしも心配な場合は、普段の会話相手、本人たちになんと呼んで欲しいのかを尋ねてみるのが間違いないと思います。

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振り返り

最終的にこれらの意見とは別にアンケートを取ってみましたが、結果は以下のようになりました。

中には「チャイマレという言葉を初めて知った」「そんな表現は日本語でも聞いたことない」といった意見もありましたが、少なくとも私の周りでは使われおりネット上でも見かける言葉ですので、一定数使っている人はいると思われます。

この件についてご意見をくださった方はある程度世代が上の大人の方がほとんどだった印象があります。
私の交友関係やネットで見る情報源としては学生が主であるため、もしかすると学生の世代には使用する人が多いのかもしれません。


これらの背景事情を踏まえ、「チャイマレ」という表現は誤解を招く可能性や不適切さをはらんでいるということに気付きました。私としては安易にこの表現を使用するのは良くないなという考えになりました。
もちろん一概には議論できない問題だとは思いますが、不快に思われる方がいる以上は場面や状況を考慮する必要性はあると思います。

マレーシアに留学させてもらっている身として文化や民族について考え直すきっかけにもなり、もう少し表現については配慮していきたいなと思いました。
本件についてご意見をくださった方、ありがとうございました。

周りの友人やTwitter上の反応として「勉強になった」「今まで特に考えずに使っていた」との声もあったため、今回の情報発信がそういった方の参考になれば幸いです。

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