海外大学進学の選択肢として人気が高まっている国、マレーシア。
中でもテイラーズ大学は、高い世界ランキングや、ホスピタリティといった専門領域での評価の高さ、提携大学への交換留学、近代的なキャンパスなどで、日本人からも人気の進学先となっている大学です。
今回はそんなテイラーズ大学の基本情報からキャンパス生活、学べる内容や進学までの過程などを、実際に通ってみた経験や他の日本人に聞いてみた感想なども踏まえながら紹介していきたいと思います。
本記事はテイラーズ大学に通うdawuさんに書いていただきました
テイラーズ大学のキャンパスツアー記事はこちら!
基本情報
テイラーズ大学の基本情報は以下の通りです。
大学名 | テイラーズ大学 (Taylor’s University) |
創立年 | 1969年 |
所在地 | スランゴール・スバンジャヤ (クアラルンプール近郊) |
世界ランク | 251(QS, 2025) |
学生数 | 約15000人(UNI ENROL, 2024) |
留学生比率 | 約3000人 (UNI ENROL, 2024) |
学費 | 学部過程 年間約130万円〜150万円 ファンデーション 年約100万円 (1RM=約34円で換算) |
テイラーズ大学は、1969年にマレーシアを代表するテイラーズグループ(Taylor’s Education Group)という教育機関によって設立されたテイラーズカレッジ(Taylor’s College)を前身とします。
以降ユニバーシティとしてのステータスを獲得し、現在はファンデーションコースを中心としたテイラーズカレッジと、学部過程などを含むテイラーズユニバーシティによって構成される、マレーシアを代表する私立総合大学となっています。
先述のように、ファンデーションコースは厳密にはテイラーズ大学(Taylor’s University)ではなく、テイラーズカレッジ(Taylor’s College)の中に含まれます。ただし、同じキャンパス内で授業なども行われているため、まとめてテイラーズ大学として括られることがほとんどです。
この属している機関の違いがファンデーションコースから学部課程に進学する際のビザの更新手続きの煩雑さに繋がるんだとか…
また、QS世界ランキングでは年々順位を上げ、最新の2025年版では251位にランクインし、マレーシアのみならず、東南アジアやアジアを代表する私立大学として高い評価を受けています。
学生数については、公式サイトには具体的な数字が掲載されていないのですが、UNI ENROLLというサイトによると約1万5000人ほどらしいです(体感は倍の3万人くらいはいそうですし、オリエンテーションの時にもっといると言われた記憶があります)。
留学生も多く、日本人にも人気の留学先です。また、交換留学なども盛んで、イタリアなどヨーロッパからの留学生も散見されます。
こちらはマレーシアの私立大学に共通したことかもしれませんが、留学生の出身としては中国本土が圧倒的に多いように感じます。次に日本や、インドネシア、バングラデシュなど、周辺の東南アジア諸国や南アジア、中東、アフリカといったイスラーム圏の国々の留学生が多いです。
キャンパス内は色々な人種の学生がいて、様々な言語が飛び交っており、とても楽しいです!
しかし、全体として現地の華人や中国本土の留学生など中国語話者が多く、余裕があるなら中国語を勉強しておくと便利な時が多いです。
大学の魅力
交換留学などの制度が充実している
テイラーズは交換留学やダブルディグリー、トランスファーなどがとても充実しています。
アメリカやイギリス、オーストラリアといった国々の名門大学との提携が豊富である他、ホスピタリティやカリナリーといった学部では、スイスやフランス、イタリアなど、より専門性が高い国での学びの機会も提供されています。
大学でも、そうしたプログラムや交換留学などの説明会やイベントも頻繁に行われており、実際に先輩たちから話が聞けたり、パンフレットなどを気軽に手に入れることができます。
大学在籍中にマレーシア以外でも学びたいという人にもおすすめできる大学です。
実践を重視した学び
テイラーズ大学はただ授業を聞いて理論などを学びテストを受けるといった観念的な学びだけでなく、実際に職場や社会の中でそれらを活かすような、実践的な学びが多いのが特徴です。
私が受けた社会学の授業では、実際に学んだ社会の仕組みや人々の交流といったことなどを活かして、PWSと呼ばれる病気の人たちのコミュニティと連携して1からワークショップを考えて実行するといった活動がありました。
この他にもグループワークや様々な団体、コミュニティと関わる活動など、実社会の中で学べる機会が豊富です。
また、インターンシップや企業の人たちから学ぶワークベースドラーニング(WBL)など、就職など将来を見据えた学びがプログラムの中に組み込まれていることが多く、自分のキャリア形成などにも大いに役立ちます。
昨今、日本でもアクティブラーニングといった学び方が重視されているように、主体的かつ実践的な学びが経験ができるのもテイラーズ大学の魅力です。
生活しやすい
これは日本人に人気のあるマレーシアの大学に共通していることでもあるかもしれませんが、テイラーズ大学は日本人が意外とたくさんいます。想像以上にたくさんいるので驚く人もいるかもしれません笑。
留学先として日本人が多いのは嫌だという人もいると思いますが、正規留学としての3年間などを長期的に考えると、身近に母国語が通じる日本人がいるのはやはり心強いです。
また、マレーシアや東南アジア諸国を中心に親日な人が多いのもありますが、大学内でも日本人というだけで、親しくしてくれる人も多いので、簡単に海外の友達を作ることができます。
日本に行きたい、日本のアニメが好きだと言ってくれる中国人は意外と多く、日本人とよく遊んでいる人や付き合っているなんて人もいます笑。日本のアニメや漫画、音楽などは海外でも人気なので、詳しいと話題になると思います。
テイラーズ大学は入学の英語基準が低いこともあり、学生同士が協力して助け合ってる雰囲気があるので、初めての留学先としてもおすすめできると思います。
キャンパスと学生生活
ロケーションと施設
キャンパスはクアラルンプール郊外のスバンジャヤというところにあります。クアラルンプール国際空港やクアラルンプールの中心部まではGrabで40分程度で行けます。
大きなモールやBRTの駅などが集中した、サンウェイ大学やモナッシュ大学などのあるサンウェイ地区と言われるところから、大きな幹線道路を挟んで(キャンパスから続く歩道橋があるので歩いて移動できます)陸の孤島のようなところにあるため、立地は悪いというのが正直な感想です。
キャンパスからの移動は、近くのサンウェイピラミッドといったモールまでなら歩いて行くという人が多いなという印象です。
またサンウェイピラミッドやSS15といった地域に行くシャトルバス(1.5RM)などもあるので、近くの移動は意外と不便ではありません。
ただ、キャンパス内にある寮の下にお店がたくさん並んだSyopzと呼ばれる小さなモールのようなところがあるので、買い物や食事はある程度キャンパス内で完結してしまいます。
また、人工の湖を囲むように建てられた近代的なキャンパスが特徴です。
寮やお店のある建物とキャンパスのある建物の間に完全に屋根があるところがないので、スコールなどが来たときは、傘をさして移動するか、収まるまで待つか、多少濡れるのを覚悟でそのまま走って移動するかの選択を余儀なくされます…。
正面に見えている建物が講義などが行われる教室が多く入っている建物です。
空き教室などは夜遅くでも利用できる(明らかに気まぐれだろってタイミングで掃除とか言われて追い出されることがよくありますが)ので、テスト期間などは不夜城のように明かりが煌々とついています。
有名な湖の湖畔ではこうしたアヒル?などの鳥がよくいます。写真などでは綺麗に見えますが、実際の水はかなり汚いのでくれぐれも飛び込まないようにしましょう(そんな人はいないと信じたい)。
学生寮について
学生寮はユーレジデンス(U Residence)と呼ばれ、日本人からはユーレジなどと略して呼ばれていたりもします。主な部屋のタイプは以下の通りです。
- スタンダードシングル/ツイン(キッチンなし)
- スタンダードシングル/ツイン(キッチンあり)
- エンスイートシングル/ツイン(キッチンなし)
家賃は、スタンダードシングルのキッチンなしの部屋で月1450RM、ツインでは一人当たり1100RMです。頻繁に値上げや変更があるので、公式サイトをよく確認することをおすすめします。
エンスイート以外はシャワーやトイレは共有です。また、どの部屋のタイプでも一階にあるコモンキッチンが利用できます。
これまで、スタンダードタイプの部屋の場合、パントリー(冷蔵庫やシンクなどのあるスペース)だけのタイプと、コンロがついたキッチンのあるタイプに分かれていました。
しかし、最近リフォームされて、キッチンなしのスタンダードタイプのユニットにも、IHのコンロ(電気がまだ通っていませんでしたが)が設置されたので、これから使えるようになるのかもしれません。
また、最近一部の部屋ではリフォームが行われてとても綺麗になりました。
規則があったり自炊がしづらかったり、部屋が狭いといった不便なことも多いですが、日本人も多く、共有スペースなどもあるため友達づくりや人間関係の構築には最適です。
また、キャンパス内にあるのはとても便利で、授業や課題などでキャンパスに行くことが多くても、移動時間などを気にせず寝ていられるのは個人的に嬉しいです。
ユーレジデンスと併設し、ユーレジデンスとラウンジやコモンキッチンなどの設備を共有する、部屋の広さや充実した設備が売りのRUEMZと呼ばれる区画もあります。
家賃などは高くなりますが、より広く、綺麗で快適な部屋も用意されています。詳しくはこちらで確認できます。
イベントやクラブ活動
イベントは地元の企業などと連携しているのか分かりませんが、キャンパス内でも頻繁に色々なブースや出店ができています。
クラブ活動などに関しては、正直どんなクラブがあるのか私も完全に把握できていません。
ただ、キャンパス内で和太鼓の演奏が聞こえてきたり、夜になるとチアリーディングと思われる団体が練習をしていたり、意外と活発に活動しているものも多いのだと思います。
各インテイクのセメスターが始まってすぐに、CNS(Clubs and Society Festival)という、日本の大学でいう新歓のようなものがあります。
そこでは様々なクラブが活動紹介などが行われているので、興味があるところに行ってみるのがおすすめです。
テイラーズ大学には日本人同士や、日本人と日本に興味のある海外の人たちとの繋がりを目的としたJCS(Japanese Cultural Society)と呼ばれる、サークルもあります。活動など詳しくは公式インスタを見てください!
教育カリキュラム
学べる学問
学部課程(Bachelor)
ディグリーと言ったりもします。学士課程は基本的にイギリス式の流れをくみ3年制です。学費は多少上下しますが、現在のレートで換算すると年間130万円〜150万円程度です。
学べる学問としては、以下のものが挙げられます。
- 建築、デザイン
- ビジネス(国際ビジネス経営, 金融, アカウンティングなど)
- 教育
- 法学
- リベラルアーツ(社会科学国際関係, 心理学, アートなど)
- メディア、コミュニケーション(マスコミなど)
- 食•美食学(カリナリーなど)
- ホスピタリティ、ツーリズム•イベント
- コンピューターサイエンス(CS)
- 生命科学
- エンジニアリング
- 薬学
- 医学
この他にもトランスファーやタブルディグリー、優等学位など多様な選択肢があります。詳しくはこちらのサイトで確認できます
日本人に人気なのは、世界的に評価が高いホスピタリティや、ビジネスなどです。
マスコミは中国人が多いなというのが印象です。私は国際関係に在籍していますが、国際関係は国籍は割とバラバラで英語力が高い人が多いです。学部によって雰囲気や特色がガラリと変わります。
ファンデーションコース(Pre-University Studies)
テイラーズ大学には学部に上る前のファンデーションコースもあります。
イギリスと違い、日本の高校を普通に卒業した場合、ファンデーションコースは必須ではありませんが、学部での学びに不安があったり、やりたいことが見つからないといった人に最適です。学費は1年間で100万円程度です。
学べる学問としては、以下のものが挙げられます。
- Foundation in Arts(FIA)リベラルアーツ/幅広い選択肢
- Foundation in Engineering エンジニアリング
- Foundation in Design デザイン関係など
- Foundation in Computing プログラミング•数学など
- Foundation in Business ビジネス関係
- Foundation in Science 理系分野
- Foundation in Natural and Build Environment
日本人に人気なのはFIAで、こちらでは幅広い学びができるそうです。具体的には心理学やホスピタリティの導入、表現方法などで、友人は課題で絵を描いたり、作品を提出したりしていました。
全ての過程で英語の授業があり、発表の仕方なども学べるそうです。卒業後はそれぞれの学んだ内容に関連した学部に上がったり、他の大学に行く人などもしばしば見受けられます。
ファンデーションコースについて、詳しくはこちらをご覧ください
受験情報
学部課程の受験に際して必要なものは以下になります。
- 高校の成績証明証(日英両方)
- 高校の卒業証明証(日英両方)
- 英語力を証明する資格など
- 例:IELTS OA5.0以上 (一部医学部など理系学部5.5〜6.0)
- TOEFLも利用可能だが日本人はIELTSが多い印象
評定平均の基準などはわかりませんが、出願時の成績に応じて奨学金が適用されることがあります。私の場合平均4/5程でしたが、満額のRM5000を支給してもらいました。
またファンデーションコースに関しては英語基準がIELTS OA4.0〜4.5で、他は学部課程と一緒です。
英語の書類などはほとんどの場合高校の先生に依頼すれば発行してもらえます。基本的に必要書類と英語資格があれば、よほどのことがない限り入学することは可能です。
しかし、入学してからは基本全て英語での学びなので、あまりに英語力が低いなどの場合入ってから苦労するので基準に囚われず英語は身につけておくことをおすすめします。
学部課程の入学時期は2月, 4月, 9月で、ファウンデーションコースの入学時期は、2月, 4月, 8月です。日本人の場合、ファンデーションコースなら高校を卒業し8月に、学部課程なら9月に入学という人が多い印象です。
8月入学でファンデーションコースを1年で修了し、そのまま学部に9月から進むという流れが日本人の中では多いです。オリエンテーションはありますが、入学式はありません。
この時ビザの手続が煩雑らしく、場合によっては入学時期がズレて2月入学とかになってしまう、といったこともあるみたいです。この記事を書いているのがちょうど9月なので、友人たちがビザ更新で何事もないことを祈ってやみません…
交換留学について
先述のように、テイラーズ大学は交換留学やトランスファーといった、他国他大学での学びの機会が非常に豊富です。
詳しくは大学や学部のホームページ、キャンパス内にある交換留学などに関する教室(B棟の地下教室)などで確認できます。
終わりに
テイラーズ大学について、できる限り、ホームページや各種エージェントさんが書いていないような、通っている人たちにしかわからないことなども踏まえて徹底解説してきました。
この記事が大学選びの参考になれば幸いです。読んでくださりありがとうございました!
テイラーズ大学のキャンパスツアー記事はこちら!