日本言語学オリンピックに海外大生が出てみた結果…【JOL2024体験記】

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以前、言語学オリンピックとは何ぞやという記事を書いたのですが、実はかくいう私も実際に出場していました。

もともと科学オリンピックに興味があったというのもありますが、正直めちゃくちゃ面白かったです。
せっかくなので、今回は2024年の言語学オリンピック日本予選の体験記やその結果などを書いていこうと思います。

言語学オリンピックとは何か気になる人はこちら!

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目次

参加したきっかけ

そもそも言語学オリンピックを認知したきっかけは、天才高校生うずしお様のnoteを読んだことがきっかけです。この記事を読んだ瞬間、めちゃくちゃ楽しそうだなと思って出たくなりました。

その後言語学オリンピックについて色々調べてみると、

  • 予備知識はいらない
  • 予選はオンライン開催(試験は2時間)なので海外在住でも参加できる
  • 他の科学オリンピックと違い、大学生以上もオープン枠として参加できる
  • 参加費用が3000円なのでポケットマネーで参加できそう
  • 上位1/3に入れば銅賞が貰えて、平均点以上なら努力賞、賞が取れなくても敢闘賞などが貰える

ということが分かりました。

以前から科学オリンピックで何かしらの実績があったらいいな~とは思っていたんですが、海外大生の私にとっても色々条件が良かったので参加を決意しました。

ちなみに上でも出てきたオープン枠というのは、JOLに参加して受賞することはできるけど国際大会の代表選考の対象にはなりませんよ、というお楽しみ枠みたいなものです。
選抜枠は主に高校生以下(翌年のIOL開催時点で20歳未満かつ大学教育を受けていないこと)が出られます。

私は高校時代には言語学や自然言語処理の本を読んでいたことがあるので、普通の人よりは言語学方面の愛も知識もあるはずです。これは言語学好きとしては負けられません(死亡フラグ)。

運営の方に海外大生はどういう参加資格になるのかを尋ねたところ、

学部に入学している場合は大学教育を受けているとみなすが、Pre-University(ファウンデーション)コースに在学している場合は選抜枠での参加を認める

との回答をいただきました。

ただし、複数の国での代表が絡む予選参加はできないので、留学先の国の言オリに参加するにはJOLには参加しない or オープン枠で出場する必要があります。私は今回のJOLにはオープン枠で出場しました。

言オリのためにした対策・勉強法

一般的な対策方法

言語学オリンピックの対策としては、例えば以下のものが挙げられます。

また、過去の代表の方が問題対策のテクニックやコツをまとめてくれたページもあります。これとか以下の記事です。

言とインドカレー
言オリ初心者に解いてほしいおすすめ過去問7選 - 言とインドカレー こんにちは.ふるほむです! この記事は,言オリのお試し問題を見て興味を持ったけれど,JOLの過去問は難しすぎる,という方に向けた記事です.それぐらいの時期にチャレン...
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また、年度によってはJOL過去問が答えだけで解説がない!なんてこともあります。そういった年は過去の代表の方などが個別に解説記事を書いてくれたりしているので、ネットを探してみましょう。例えばこういう記事たちです。

また、言語学オリンピックの委員会の方その他が参加されている「言オリerの集い」というDiscordサーバーがあって、かなり活発に質問回答や交流が行われているので覗いてみてもいいかもしれません(こちらの方のTwitterプロフィールのリンク経由で参加できます)。私も参加していますが、かなりの猛者がたくさんいて心強いです。

言語学オリンピックは比較的新しめな科学オリンピックということもあって、まだあまり体系的な対策書などはないようですね。

実際に行った対策

先ほどのうずしお様の記事を見たところ、本人は一週間前からJOLの過去問を5年分だけ解いて銅賞を獲得されていました。それに(悪)影響を受けてしまい、なぜか私も一週間前から対策をはじめました。うずしお様と違って頭がいいわけでもなく、というかそもそも謎解きやパズルは死ぬほど苦手(致命傷)なのに何を思いあがっていたのかは覚えていません。

とはいってもJOLが開催される12月の後半は大学が休みだったので、JOL過去問はサイトに公開されている8年分を一周はできました。あとは先ほど紹介した言オリのテクニック解説記事を読みました。

とりあえず1年分時間を計って過去問を解いてみて自分の実力と立ち位置を知って、その後テクニック解説記事を読んだり解説を読み込んだりするのがおすすめです。

私の場合、具体的には

  • 単数、双数、複数の違いを日本語以上に意識する
  • 男性・女性名詞、優生無生名詞がある言語もある
  • 十進法ではない言語もある
  • アクセントの有無によって語形が変わったりする
  • 有声音、無声音によってアクセントの位置が変わる
  • 語頭、語中、語末で形が変化するものもある
  • 同じ言葉が複数の意味を持っていたり、一語が一単語に対応していない場合がある
  • 同じ音の子音が二パターンあるものもある
  • インド系言語では、特定の母音のみ省略されることもある
  • SOV型とVSO型の言語だとおおよそ同じような語順になる

など、過去問を解いて気づいたことを箇条書きでメモして、意識しながら次の過去問を解いたりしていました。

どれくらいの点数を取れると何賞が貰えるのかは公式サイトのJOL大会成績というページから見れます。毎年60点前後で銅賞、50点前後で努力賞が貰えるようです。
オープン枠のほうが選抜枠よりもボーダーが高くなっているので、初参加の割にはちょっと厳しい戦いになりそうでした。

めんどくさかったあまり時間がなかったのでAPLOやIOLの過去問は解いていません。私は統語の問題が苦手だったのですが、苦手な分野の問題だけでも対策しておいた方が良かったかもしれません。ことはじでは問題の種類ごとに過去問が分類されていたりするので、みなさんはこれを使って対策すると便利です。

過去問を解いてみた感じだと、オープン枠で銀賞と銅賞が貰えるボーダーの中間くらいの実力でした。当日は最低でも銅賞は取りたいなと思っていました。

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本番の様子・感想

JOL2024自体は2023年12月29日の午後1:00~3:00開催でした。

私は学校のテストや部活や習い事の大会など、何かしらのイベントがあるたびに緊張してお腹を壊すという確定演出が起こるので、JOLも例外でなくお腹を壊しました。家のトイレから出てくると開始1分前でした。
といいつつ、JOL2024本番では開始時間にサイトが動作不調で3分遅れて競技開始になったので大丈夫でした(これもこれで焦りましたが)。

回答は各自がGoogleスプレッドシートに書き込んでいき、終了時間になったら自動で提出される仕組みです。
問題はPDFで配布されて、紙に印刷してもパソコンで見てもiPadで見てもOKです。私はプリンターがなかったのでiPadのGoodnotesというアプリとApple Pencilを使って書き込みながら解きました。

大問は5つでした。問1~3は自信をもってどれも20分前後で回答することができましたが、問4, 5は全然解けず。分かりそうなところだけなんとなく書いてあとは部分点狙いで勘で埋めました。

そんなことをしているうちにあっという間に回答終了時間になりました。自分としては問1~3でほぼ満点(50~60点)を取って、問4, 5の部分点も合わせればまあ銅賞受賞ラインには届いているんじゃないかという戦略でした。
TwitterやDiscordを見てみると、他の参加者も問4, 5は全然できていなかったようなので一安心。

結果発表ー!

結果は1月上旬に発表とのことでした。公式サイトを見てみると1月21日発表予定と書かれていましたが、当日になっても結果が公開されないし連絡も何もないのでおかしいなと思っていると、翌日の午後に公開されていました。

てっきり採点は一瞬で終わるものかと思っていましたが、結構時間がかかるようです。部分点の計算もあるので、公式が予想していなかった回答があったりしたのだと思われます。

さて、結果は…

惨 敗☆

合計点は50.3点あんなにイキっていたにもかかわらず銅賞はおろか平均点にすら達していませんでした。
問1, 2は点数が手応え通り点数が高かったようなので敢闘賞はいただけたましたが、すごいショック。

こういうのめちゃくちゃ引きずるタイプなので、その日は大学の課題も何も手が付きませんでした。一週間前から対策したりするからこういうことになったんですね、言わんこっちゃない。

ボーダーライン
金賞82.5点
銀賞69.3点
銅賞61.1点
努力賞52.2点
JOL2024の受賞ボーダー
参照:https://iolingjapan.org/record-jol/

とはいっても、点数は50.3点だったのであともう少しで努力賞でした。惜しい。

詳細を見ると自信のあった問3が20点中5点しか取れてませんでした。手応え的には問1, 2のように20点近いと思っていたのですが、的外れな回答をしてニヤニヤしていただけだったのかもしれません。

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振り返り

JOL2024では歴代初の満点回答者が現れて話題になっていました。ヤバすぎます。こちらの方は数々の謎解き大会で実績を残されている有名な方だそうです。

他にも競技プログラミングや数学に強い人が金賞銀賞を取っている印象でした。やっぱりパズルや謎解きのような要素が強いとそういうのが得意な人は向いているのだと思います。

結果は残念でしたが、言オリ自体はすごく楽しかったのでまた参加したいです。オープン枠として大人になっても参加することができるのはとてもいい制度だなと思います。
もっと言語学の知識を付ければ上位も目指せるかもしれません。問3は許さん。

あとは言語の多様性にも気づかされました。文字を右から左に書いたり、10進法を使っていなかったり、特定の母音だけは省略される言語なんかもあって、日本語の規則に囚われているとなかなか解けない問題もありました。

私が留学中のマレーシアでもマレー語、英語、中国語、タミル語などの様々な言語の話者がいるので、そういった言語の規則の違いにも目を向けてみると面白いかもしれませんね。JOLの参加は外国語学習のモチベにもなりました。
もし予定が空いていれば来年も出ようと思います。

言語学オリンピックとは何か気になる人はこちら!

ちなみに、言語学オリンピックはマレーシア予選もあるので、そちらも出ることにしました(JOLはオープン枠参加なので規約上はOK)。マレーシアの言語学オリンピックについても紹介したいと思います。

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