この記事では、僕が通っていたモナッシュ大学マレーシア校のMEB(Monash English Bridging)コースを紹介します。
世界でも名門として知られているモナッシュ大学の海外分校に、MEBを経由することでIELTSなどの英語スコアが低くても入学できるのが魅力のコースとなっています。本記事では、そんな夢のあるMEBコースについて詳しく解説しようと思います。
「海外の名門大学に入学したいけど、英語力が心配…」という方にぜひ読んでいただきたいです!
本記事はMEBを卒業後にモナッシュ大学の学部課程に入学された方に書いていただきました!
MEBとは?
概要
MEBは、Monash English Bridging の略称で、モナッシュ大学の学部または大学院に出願した時に英語スコア以外の合格基準を満たしている新入生のために提供されている、10週間または20週間の英語のみを学ぶコースです。
医療系などの一部の学部を除き、モナッシュ大学の学部に直接入学するためにはIELTSのスコアでOverall 6.5(各4技能でそれぞれ6.0)が最低でも必要になります。
ただ、MEBには学部進学の場合、Overall 5.5(各4技能それぞれ5.5)という比較的低いスコアで入学することができます。
MEBはモナッシュ大学の学部や大学院の条件付き合格時の条件となっているので、MEB修了後は出願した専攻に進学することになります。
修了時に好きな学部を選択できるファウンデーションコース(MUFY)と異なり、MEBに入学した後に学部を変更することはできません。
モナッシュ大学マレーシア校について気になる方はこちらもどうぞ!
基本情報
MEBの基本情報はこちらです。
正式名称 | Monash English Bridging |
開講場所 | Monash University Malaysia |
学費 | 35万円~40万円(20週間コースの場合) |
入学時期 | 2月、8月(20週間コースの場合) |
コースの規模 | 100人程度(2月入学の場合) |
留学生比率 | 日本人 5%、中国人 75%、マレーシア人 10%、その他 10% |
男女比率 | およそ1:1 |
僕の場合は2月入学だったので日本人が5%ほどでしたが、7月入学の場合だとクラスの半分以上を日本人が占めていることもあるそうです。日本人の割合が基本的にとても多いコースです。
8月入学のRickyさん曰く、全体の人数は70人くらい(4クラス)で、
・日本人26人
・マレーシア人8人くらい
・中国人が8割強
・韓国人は多分1人か2人
・インドネシアが5人いるかいないか
程度らしいです。年度によってかなり変動があるようですが、2024年の8月入学だと5割ほどが日本人だそうです。
MEBのメリット・デメリット
MEBのメリット
MEBのメリットは以下の通りです。
- IELTS 5.5 でもコースを修了すれば学部または大学院に進学可能
- 修了までの期間がファウンデーションコース(MUFYは1年間)よりも短く、費用が抑えられる
- 出願先がモナッシュ大学なので学部進学がスムーズ
- 周りも英語が得意では無いため助け合える、友達が作りやすい
- 学部や大学院に入る前にモナッシュ大学やマレーシアの生活に慣れることができる
MEBのデメリット
逆に、デメリットとしては以下のようなものが挙げられます。
- 学部などに直接進学するよりも費用や時間がかかる
- 8月入学など、入学時期によっては日本人がたくさんいる
- MEBに入学後は気が変わっても進学する学部を変更できない
- 最終テストのみの評価で修了できるか決まる(あまり心配はいりません)
カリキュラムと学習内容
カリキュラム
MEBには10週間のコースと20週間のコースがあるのですが、前半の10週間をモジュール1、後半の10週間をモジュール2と呼びます。10週間のコースの学生はモジュール2から20週間のコースの学生と混ざって一緒に勉強します。
基本的には20週間のコースに入ることになると思いますが、IELTSのスコアがOverall 6.0 各セクション5.5以上で10週間のコースを選択可能になります。日本人は20週間のコースが多く、10週間のコースにはマレーシア人が多くいました。
日本人はIELTSのスピーキングのスコアが低い傾向にあるのと、スピーキングに対して不安を抱える人が多いので20週間のコースに多いのではないかと思います。
英語の授業のみとなっており、4技能をバランスよく伸ばしていくコースとなっています。
授業の内容
だいたい2週間ごとに環境問題や科学技術などのテーマが決まっており、そのテーマごとに4技能の授業があります。
- リーディング
-
リーディングの授業は、PDF2〜4ページ程度の英語長文を読んで4択問題に取り組むというような感じです。日本で勉強するのと似たような感じです。
単語の難易度はあまり高くないので、高校で使うような英単語帳をほぼ完璧に覚えていれば問題ありません。文法の授業もありますが、こちらは中学レベルの文法を少し形式的にやるだけなのであまり期待はできません。
- リスニング
-
リスニングの授業もリーディングでやったのと同じテーマで4択問題を解いていくことになるのですが、主に2種類の形式があります。
1つ目の形式は、英語の会話やスピーチ、ディスカッションのいずれかを聞きながら同時に問題に答えていきます。2つ目の形式は、英語のディスカッションやスピーチを聞きながらメモをとり、その後にメモを頼りに問題を解いていきます。
いずれの形式もリスニングの時間は1回6分程度で、2つ目の形式のみ2回聞くことができます。
- ライティング
-
ライティングの授業は、リーディングの授業で扱った題材をもとに自分の体験とリーディングで学んだ理論や考え方を結び付けてエッセイを書きます。
エッセイの語数は350語程度と長くなく、序論、本論、結論の書き方をひとつひとつ丁寧に教えてもらえるので、英作文が苦手な方でもモジュール1が終わる頃には問題なく書けるようになります。
- スピーキング
-
スピーキングの授業も内容はその期間のテーマと類似したものです。スピーキングの授業はディスカッションとプレゼンテーションの2つがあります。
これらの授業はコース最後のプレゼンテーションを除いてすべてグループワークです。ディスカッションについては、2人での対話形式と4人での話し合い形式があります。日常会話ができるのであれば特にこちらは問題ありません。
プレゼンテーションについては準備期間が1〜2週間ほどありますが、スライド作成と話す内容をグループ内でちゃんと話し合っておかないとグダグダになるので少し大変です。
ディスカッションは10〜15分程で、グループプレゼンテーションは1人2〜3分です。
授業の雰囲気
マレーシア人、インドネシア人、中国人、日本人が主な学生です。その他の国籍の学生は1人か2人です。
ただ、基本的にはみんな仲良しですが、時々恋愛で揉めそうな場面を目撃しています。異なる文化や周りの人の価値観に尊敬の気持ちをもって交流するようにしましょう。
僕は2月の入学だったのですが、中国人多数に対し、日本人少数というような感じでした。8月入学であれば、高校卒業したばかりの日本人学生が多くいるようです。
課題について
4技能それぞれの授業で課題があります。
主な課題は、リーディングのテキストを予習として読んでおくこと、ライティングを1週間以内に1つ書くこと、スピーキングのプレゼンテーションの準備です。課題は正直少ないです。
最終テストについて
MEBを修了するためには19週目〜20週目にある最終テストで基準となるスコアを取らなければなりません。最終テストの評価の仕方が以前と変わっていると思うので、参考程度にしかなりませんが僕の時の基準を載せておきます。
基準は以下の通りです。
評価能力 | 内容 | 比重 | 合格基準 |
---|---|---|---|
キータスク | 課題 | 大 | 70% |
リーディング ライティング | リーディングテスト | 中 | 3つあわせて65% |
研究レポート | 中 | ||
ライティングテスト | 大 | ||
リスニング スピーキング | リスニングテスト | 大 | 3つあわせて60% |
ディスカッション | 中 | ||
プレゼンテーション | 中 |
キータスク
これは日々の課題とは別の課題で、リーディングの問題、リスニングの問題、文法問題を解く課題がメインです。最終テストの他の項目と関係するところもあるので、出たらすぐにやると他のテストで高得点を取りやすいです。
合格基準は70%となっていますが、これは問題の正答率は関係なく、全体の中でどれくらいの課題に取り組んだかの割合です。
リーディングテスト
100分間のリーディングテストです。大学入学共通テストや英検のリーディングの問題と同じように、選択式で問題を解いていきます。
日本の高校でもリーディングの勉強をたくさんやるので、最終テストの中でも簡単だと思われるかもしれませんが、実は1番難しいです。
ただ、リーディングで低い点数を取ってしまっても研究レポートとライティングで高得点を取れば落ちることはありません。
研究レポート
最終テストと聞くと全て一発勝負というイメージがあるかもしれませんが、研究レポートは8週間使ってレポートを仕上げていきます。テーマはMEB修了後に進学する学部などによって異なります。
ちなみに、ITは簡単です。ほとんどの学生は1500語程度のレポートを書くことになりますが、社会学専攻などは1000語程度のエッセイを書くことになります。
参考文献を最低でも6つ使う必要があり、僕にとっては正直大変でしたが、8週間かけて先生方に見てもらいながらレポートを仕上げるのでなんとかなります。
ライティングテスト
授業や課題で書くような350語程度のエッセイのようなものを制限時間1時間で書きます。
ライティングテストの1週間前に題材となる記事が渡されるので、その記事を事前に読んで書くことになります。ライティングの授業をしっかり受けていれば問題ないと思います。
リスニングテスト
最終テストだからといって1回のリスニングテストがあるのではなく、モジュール2の中で1週間に1回くらいの間隔でこまめにリスニングテストがあります。1回の比重は3%くらいです。
実は、リスニングテストが1番簡単です。あまり詳しくは言わないでおきますが、キータスクのリスニングをちゃんとやっておくと良いことがあるかもしれません笑。
ディスカッション
4人グループが作られて15分間ディスカッションするだけです。1週間前に題材となる記事が配られます。本番では、その記事に関連する画像が渡されて、その画像について話し合いました。
難しいことは無く、結論を出す必要も無く、ただひたすらに15分間話し合うだけです。
プレゼンテーション
5〜7分間で研究レポートの内容をプレゼンします。レポートをしっかり書いておけば全然難しくないです。2週間くらい準備期間があるので心配することもあまりないです。
授業ではグループプレゼンテーションを何回かやることになりますが、こちらは個人で取り組みます。授業でも別のテーマを1人で1回やると思います。
最終テストの評価について補足すると、リーディングがG評価(49%以下)の人がたくさんいましたが、仕組み上、レポートとライティングが良ければ問題ないので、実は今回のMEBの学生全員が無事に修了することができました。
よほどのことがない限り落ちることはありません。例えば、レポートやライティングで語数が足りないとか、プレゼンテーションで時間が短すぎるとかが無ければまず落ちることはないでしょう。
受験情報
出願時には、以下の2つが合否に関わります。出願に必要な書類は高校の卒業証明書などが必要になりますが、詳しくは大学のホームページをご覧ください(Monash EnglishとなっていますがMEBと同じだと思います)。
高校の成績
ほとんどの方は日本の高校の成績で出願すると思いますが、それ以外にもAレベルなどの資格を用いて出願が可能です。
日本の高校の成績を用いる場合、一般的には5段階評価で3.6以上あれば問題ないとされていますが、基準は公式に公開されていないため詳細は分かりません。
高校の卒業証明書
高校の成績証明書と卒業証明書は日本語バージョンと英語バージョンをどちらも用意する必要があるため、出願をしたい時期より前もって学校の先生に相談しておきましょう。
私の高校では先生にお願いしたら2週間程度で作成してくれました。
英語力証明
IELTSでは、Overall 5.5(各セクション5.0)が最低でも必要になります。MEBの学生の中で数人、先生からIELTSで基準のスコアを満たすように言われて現地でIELTSを受けている人もいました。
ちなみに、MEBの学生のほとんどがIELTSで出願しています。TOEFLも一部利用できますが、特にこだわりがなければIELTSをおすすめします。
MEBでの生活について
一日のルーティン
授業は月曜日〜金曜日の8:30〜13:00となっており、間に30分間の休憩時間があります。しかし、実際は午前中で授業が終わることも多いですし、授業間の休憩時間も45分間くらいあります。
日々の課題は全然大変ではないので、平日の午後と土日は遊び放題です。MEBは友達を作りやすいので、僕は中国人の友達と複数人でご飯を食べに行ったり、何時間も麻雀をしたりしました。
授業にはこんな感じのものを持って行っていました。普通の大学生とあまり変わりませんね。
- ノートパソコン
- ペンと紙(ノートなど)
- イヤホン
- 学生証
クラブ活動やイベントについて
モナッシュ大学のクラブに参加可能です。大学内のイベントに関しては、学部のイベントが多いのでMEBは特にありません。
ちなみに、クラブ活動について言うと、モナッシュ大学ではクラブ活動はあまり盛んではありません(勉強が大変なため?)。
一応学校のこちらのサイトにクラブ活動が一覧でまとめられており、見てみるとバドミントンやチェス、起業家クラブなど約60の団体があるようです。チアリーディングはよくキャンパス内で活動しているのを見かけます。
終わりに
この記事を通して、MEBがどのようなコースなのか大体分かったのではないでしょうか。
これからMEBに入ろうと検討しているみなさんの中には、先の進路が不透明で不安を抱えている人がいるかと思います。ただ、MEBでは学部や大学院に進学するためのサポート体制が整っているため、安心して楽しく過ごせると思います!
本記事が進路実現の参考になれば幸いです。
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