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海外大は入学が簡単!日本の入試や教育は不平等で遅れてる!という意見を現役海外大生が斬る

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たまに「海外大学は入るのが簡単で、日本の大学は卒業が簡単」「日本の大学はペーパー試験だけだから、海外と比べて遅れている」などの、日本と海外の入試方式の違いについて議論している意見をインターネット上で見ます。

しかし、現役で海外大学に通う身としても共通テストなどを受験した身としても、こちらは見ていてモヤモヤする所があるので、今回はその意見についての自分の考えを書こうと思います。
また、実際の所海外大学の入学や卒業の事情、日本の大学事情はどうなのか、私自身の経験を踏まえてちょっと考察してみようと思います。

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目次

私の意見


私はそういった意見を見るたびに毎回、そんなの議論するだけ無意味なのになと思います。

海外大学と日本の大学は「大学(学士号が得られる)」という教育機関の形が同じなだけで、そもそもの入試形態も大学が求める学生像も全くベクトルが異なるものだからです。「サッカーと野球はどちらが良いのか?」を議論しているようなものだと思います。

そういったことをしても何も生まれませんし、どちらかを貶すような議論は最終的に両方の立場の人が嫌な気持ちになるだけ、マイナスだと思います。
もちろんそれぞれ「こうしたらもっと良くなるんじゃない?」などと建設的に話をすることができるのであれば話は別ですが、この話題においてそういった立ち位置を取れる人はほぼ見たことがありません。

主な争点は両大学の入試システムの部分かと思いますが、万人が納得する入試システムなどできるわけがなく、どの形態であろうと一長一短です。また、大学在学中の生活の様子などの他の側面についても同様です。
そのため、そういった綺麗ごとや理想論を語る気力があるのなら、自分の行きたい方に行けば良いのではないかと思います。

海外の大学のイメージと実態

一応誤解を解くために、以下のセクションでそれぞれの大学について世間で持たれているイメージとその実態はどうなのかについて見ていこうと思います。まずは海外大学からです。

ただ最終的には大学や学部、個人の頑張り度合いなどによるものだと思いますので、あくまで一般的な傾向での話、という風に捉えていただければなと思います。

入学難易度について

一般的に海外大学は入学が簡単、卒業が難しい、といったイメージを持たれているようです。

なぜ入学が簡単だというイメージが定着したのかと言えば、恐らく日本の大学入試のようなペーパー試験がないことが原因でしょう。

こちらの意見は部分的には正しいと思います。
実際にマレーシアの大学ではIELTSなどの英語の資格と高校の成績証明書(しかも求められる基準も低い)を提出するだけで合格がもらえてしまいますので、ヌルゲー受験だと言われても仕方がありませんし、実際に私もそう思います。

しかし、「海外の大学」と一括りにしても各国で入試形態や教育カリキュラムは異なります

アメリカの大学受験に必要なもの

そして例えばアメリカの大学受験なんかはかなり大変です。具体的に用意する書類と言えば、一般にこれらが必要となります。

  • 高校の成績証明書
  • SAT(アメリカ版共通テスト)
  • 英語力の証明資格(TOEFLなど)
  • 課外活動の実績
  • 志望動機などのエッセー
  • 推薦状2-3通

以下、それぞれについてもう少し詳しく書きます。

高校の成績証明書

トップ校を目指す場合はオール5に近い成績がほぼ必須となります。高校の偏差値は考慮されず、評定しか見られないため、進学校に通っているほど実はアメリカ大学受験においては不利になります。

SAT(アメリカ版共通テスト)

英語と数学で構成される、アメリカ版の共通テストです。合計1600点となっており、トップ校を目指す場合には1500点~(アメリカ上位1%)を目指すことが推奨されています。

数学は日本人なら満点を取れる人も多いとされていますが、英語の難易度は非常に高いため難関試験です。こちらは英語力を計る試験ではななく、アメリカの現地の学生の国語力を図るための試験であるためです。

リーディングの難易度はTOEFLやIELTSよりも難しいとされ、英検一級よりも相当格上の難易度だと言う人もいます。

英語力の証明資格(TOEFLなど)

アメリカの大学はTOEFL iBTが主流ですが、IELTSが使えるところもあります。トップ校合格のためにはTOEFLで言うと100点以上が求められることもあり、こちらは英検一級以上の難易度とされています。

課外活動の実績

トップ大学では各種科学オリンピックやビジネスコンテスト、模擬国連などの課外活動において、全国大会や国際大会で結果を残している人もザラにいます。

これらの活動の実績を元にして、自分は何を大学で学びたいのか、この活動の何が自分の成長につながったのかをアピールしていく必要があります。

志望動機などのエッセー

筋の通った志望動機書(モチベーションレター)などを書きます。大学独自のエッセー課題などが要求されることもあり、日本語でも難しいものを英語で書く必要があります。数ヵ月以上執筆に時間をかける人もいます。

推薦状2-3通

学校の先生や課外活動でコネのある大学の関係者などに執筆してもらいます。高校によっては推薦状を書いたことが無く、用意するのに時間がかかるところもあります。

時間に余裕を持って先生などに自分でお願いし、きちんとした内容の推薦状を書いてもらう必要があります。

大変さのベクトルが違う

もちろん全ての大学がこれらを要求しているわけではありませんし、これら無しでもトップ大学に合格する人もいます。しかしここで言いたかったのは、大変さのベクトルが全く日本と違うということです。

高校生という限られた時間の中で、学校の成績もキープしながら課外活動で結果を出し、英語資格やSATの対策と並行してエッセーや推薦状の執筆の準備をする。ここまでの鬼のようなタスクをこなせる人はどれほどいるでしょうか?

私はほとんどいないと思いますし、自分もできるとは思いません。
私も学校の成績と課外活動の実績だけならこれらの基準に太刀打ちできるかもしれません。ただ、それでも高2、高3の持てる時間を費やしても全ての基準をクリアするのは無理だった側の人間ですので、彼らには尊敬しかありません。

しかし、実際に世の中には科学オリンピックでメダルを取りながら化け物のような英語力を身に着け、学校でも成績優秀でエッセーなども難なくこなす高校生がいるんです(たまに東大にも同時に合格していたりします)。

その事実を踏まえても、本当に海外大学に入るのが簡単だと言えるでしょうか?

もちろん大学の難易度や国によるところはあると思いますが、意外と「海外大学は簡単な書類を出すだけで合格しちゃうもの」という先入観によるものが大きいのではないかと思います。
ただ、普通に日本で生きていると海外大学の受験について知ることはないと思うのでこれはある種仕方がないというか、それだけ日本では海外大学進学という選択肢がメジャーでないという証拠でもあります。

卒業難易度について

入学後は日本の大学よりも頑張らなくては卒業できないという意見を目にしますが、これはある程度は本当だと思います。

確かに私もモナッシュ大学の学部課程に進学してからはかなり大変だなと感じましたし、毎日夜遅くまで勉強している先輩とかも見ます(個人のキャパシティにかなり依存する面はあると思いますが)。

また、Twitterで他の海外大学に渡航した人の様子を見ていても、課題や授業が進むのが早すぎて付いていけない…という人をたくさん見ます。先ほど挙げたSATやTOEFL、その他書類の基準をパスした、頭も英語もレベチな人たちが苦労している状況なのです。

そのため、海外大学を卒業するためには(もちろん緩い大学もあると思いますが)、平均的な日本の大学よりは勉強を頑張る必要があるのかなとは思います。ただ、英語などの母語でない言語で新たに学問を勉強しているから、というのも大変さの一因にはなっていると思います。

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日本の大学のイメージと実態

次に、日本の大学のイメージと実態についてです。

入学難易度について

日本の大学は入るのが難しいとされています。

日本の大学の合否は、一般入試の場合だと基本的にペーパー試験の成績によって決まります。

私は日本の大学の一般入試は受けていませんが、理系の国公立なら5教科7科目を勉強しなくてはいけませんし、数学なんかは問題のレベルだけで言えば海外大学で扱っているものよりもよっぽどレベルが高いと思います。
こちらもこちらで、数多くの科目を受験のレベルまで突き詰めて勉強する必要があって大変です。当日までの体調管理、メンタル管理という意味でも海外大学とは違った苦労を強いられます。

私は日本の大学の二次試験は受験していない人間ですので偉そうなことは言えませんが、共通テストは受験しました。
共テだけでも、普通の人からしたら究めようと思えばかなりの努力時間が必要になりますし、二次試験も含めるとこちらも相当大変(ベクトルは違いますが)であることは言うまでもありません。

卒業難易度について

ただ、日本の大学は一度入ってしまえば受験生の時ほど勉強をする必要はないとも言われています。これが、卒業は簡単だと言われている理由だと思います。

確かに私の高校の同級生を見ていると、そこそこ良い大学に入った人でも大学入学後に勉強を頑張っているような様子は散見されない(遊んでいる人が多い)ので、あながちそれは間違っていないのではないかと思います。少なくとも、海外大学の平均値よりは、大学入学後の生活において勉強が占める度合いは低いような気もします。

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終わりに:そもそも、良い悪いって何?

ここまで比較してみて、海外大学と日本の大学ではそもそも苦労のベクトルが違うため、あまり議論しても意味がないということが分かったと思います。どこに評価の比重を置くのかとか、何を苦手としているかは個人によって異なりますし、大学によっても全然制度が違うものなので。

そして、そもそも論の話に帰結してしまいますが、どちらの大学のほうが良い悪いというのは、一体何の基準によるものなのでしょうか?

例えば、マレーシアではレジの店員さんがスマホでTikTokを見ていることがよくありますが、これは

  • 接客が雑だ。もっとプロとしてしっかり仕事をするべきだ。
  • みんな細かいことを気にしなくていいので気楽に働けるし、最終的に会計ができればいいじゃないか。

という感じで、両方の立場から良くも悪くも議論することができます。

このように、そもそも何をもって良い悪いとするのかなどは主観の問題であるため、一般的に議論できるものではありません(個人の中での意見はあると思います)。
もしかしたら他人に良い悪しの基準、定義を明確に説明できる人もいるかもしれませんが、それが他の人から見た時に適切な評価軸だという保証はありません。

というか、なんんら大半の人は両方の大学について十分な情報量を持っているわけでもなく、先入観や第一印象で曖昧な良し悪しを議論しているのではないかと思います。
頭で分かってはいても比べたくなるのが人円の性ですのでこの論争が発生するのは仕方がない気もしますが、個人的には制度が異なるものを比べて良し悪しを語るやりとりは好きではありません。

ただ一つ言えるのは、この議論の正解はないし意見や立場は人それぞれ異なるものなので、不毛な議論をするくらいであれば両方の情報を踏まえた上で自分が良いと思ったほうの大学に進学するほうが幸せになれるよ、ということです。

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