マレーシアの大学に留学中してみて学問のレベル感で一番感じたのは、海外の数学は簡単すぎる!ということです。日本人の「私数学できない~」がこちらでは優等生に相当すると思います。
海外に来るまでは気づきませんでしたが、実は日本の数学教育はものすごい高度なことをやっていたんだなということに気づきました。
どんなレベルの問題を解くの?
私が現在通っているモナッシュ大学のファウンデーションコースでは
- 基礎数学(Fandamental Maths)
- 数学(Maths)
- 上級数学(Advanced Maths)
の三科目が開講されています。
上級数学
そうは言っても、一番レベルの高い上級数学に関しても引くほど簡単な内容のことを扱います。
単元としては、例えば前期の上級数学では以下のものを扱います。
- ベクトル
- 行列
- 図形と方程式、式と曲線
- 複素数
- 三角関数、三角法
そして、例えばベクトルの分野だと以下のような問題が出ます。
\(\vec{v} \ = 2i + 6j + 8k, \vec{u} \ = 3i + 10j – 8k\) です。\(\vec{v} \ + \vec{u} \) の値を求めなさい。
\( \overrightarrow{OA} = 4i + 5j\) とします。|\( \overrightarrow{OA} \)| 及び \(2 \overrightarrow{OA} \) を求めなさい。
うん、簡単ですね。秒で解けると思います。
これよりもう少し難しい問題もたまに出ますが、基本的にはテストに出てくる問題もこんな感じで公式や定義に当てはめるだけのものばかりです。
このレベルなら誰でもできそうな気がしますが、実はこの上級数学を履修しているのは同時期に入学した同級生約600~700人の中で50人だけです。みんな上級数学は難しすぎると言って敬遠しているためです。
なので、この程度の問題が解けるだけで超天才扱いされます。
数学
普通のクラスの数学でも以下のようなものが出ます。
関数 \(f(x) = x^2 + 6x + 10\) の頂点の座標を求めなさい。
うん、これも簡単ですね。どちらにしろ進研模試とかのほうがよっぽど難しいです。
なんならこの程度の平方完成の問題なら暗算でできる人も多いと思いますが、マレーシアの人は紙にびっしり計算するか電卓を使って解きます。
なんなら、 \( \sin 150^\circ \) の値なんかも関数電卓を使って求める人ばかりです(というか覚えてないのか)。
あとは、テスト後に周りのマレーシア人の友達数人から「お前の答えは間違っているぞHAHAHA」と言われたけど実は私だけしか正解していなかった、なんてこともザルです。
基礎数学の内容はあまり分かりませんが、個人的には数学と上級数学は範囲が違うだけで大して問題の難易度は変わらないと思っています。
基礎数学は数学が苦手な人や文系が主に取る授業となっています。
他の海外大学の数学事情
一応モナッシュ大学は2024年度のQS世界ランキングでは42位となっている名門です。ファウンデーションではあるものの、それにしても数学はこの難易度です。
ちなみに他のマレーシアの大学(ヘルプ大学やノッティンガム大学)のファウンデーションコースの問題を見せてもらったこともありますが、こちらのほうが難易度若干は高かったです。
モナッシュ大学は簡単な問題が大量に出る時間勝負、他の大学は少し難しめ(とは言ってもそこまで難しくない)の問題が少なめに出る、といった印象でした。世界ランクと問題の難易度は必ずしも比例するわけではなさそうです。
また、以前ハーバード大学に通っている方とお話をさせていただく機会があったのですが、(もちろん得意な人はとことん得意らしいですが)大体の学生はこれと似たような感じのレベルだそうでし、YouTubeでも以下のような動画を見ます。
マレーシア(海外)の数学が遅れているわけではなく、日本の数学が進みすぎているといったほうが正しいのかもしれません。
なぜ日本の数学と難易度が違うのか
この難易度の差は、日本と海外の数学の目指すところが違うから発生するのだと思います。
日本の数学の教育は全て自力で脳のメモリを使って難しい入試問題を解くことが目的になっています。
ですが、海外の数学は電卓を使ったりして現実的な実社会の問題(手計算では求められないようなlogの値から人口減少率を求めたり)を解くことにフォーカスを当てている気がします。
どちらが正しいとかではなく、単純に方向性の違いなのかなと思います。
ただ、個人的な意見を言うと、海外は高校教育までは日本の数学を見習うべきなのかなと思います。
日本の入試問題を解ける人が海外の簡単な数学に移行するのは関数電卓の使い方を覚えるだけですが、その逆は非常に時間を要するからです。
また、関数電卓のグラフ描写機能に頼ったりするのではなく自分で暗算したり頭の中で考えたほうが数学的に考える力も育ち、応用が利くと思います。
終わりに
こんな感じで日本の数学は結構すごいことをしていたんだな、ということを感じました。
数学はそこまで英語能力が関係しない科目なので、留学中の日本人にとっては高GPAを獲得するための得点源になるのではないでしょうか?
ただ数学の用語や解答、記述のやり方を覚えたりするのは少し大変だったので、渡航前に少しだけ英語で数学をしてみるのもいいと思います。
といいつつ、一番最初のクラス分けテストで出てきた数学の問題はこれでした。やっぱり舐められてるのかもしれません笑。