近年のマレーシアの都市は目を見張る発展を遂げていますが、まだ衛生環境では日本と異なる面もたくさんあります。
例えば、致死率ほぼ100%の狂犬病は日本では基本的に発生することのない病気とされていますが、マレーシアではまだ感染する恐れもあります
しかしながら、マレーシア留学前に打っておくべき予防接種やワクチンについて、実際の留学生はどうしているのかについての情報はあまり見受けられません。
そのため、今回は私とその周りのマレーシア留学生の体験談を踏まえて、マレーシア渡航前に打っておくべき予防接種・ワクチンについてご紹介しようと思います。
マレーシアの病院事情について気になる方はこちらの記事もどうぞ!
マレーシアではどんな病気にかかる?
熱や下痢と言った基本的な体調不良や病気はともかく、マレーシアで特に注意が必要な病気についてご紹介します。
外務省のホームページによると、マレーシアではこれらの病気にかかりやすいとされています。
- 急性胃腸炎
- デング熱・チクングニア熱
- ジカウイルス感染症
- 日本脳炎
- マラリア
- 狂犬病
- レプトスピラ症・類鼻疽(るいびそ)
- ポリオ
- その他の感染症(チフス、A型肝炎・B型肝炎など)
聞いたことがある病気もあれば、日本ではなかなか見ない病気もありますね。マレーシアは熱帯な上に、まだインフラ整備が整っていない場所もあるため、病気に関する状況も日本とは異なるようです。
マレーシアでは医療施設はかなり発達している上、日本人クリニックもあるため、いざという時もある程度安心です。
ただ、事前に何か予防できることはしておいたほうが良いと思いますので、次のセクションでは実際にマレーシア留学生が打ったワクチンについてご紹介します。
みんなが実際に打ったワクチン
結論、何を打てばいい?
マレーシア入国に際して必須となる予防接種はありませんが、狂犬病とA型肝炎、B型肝炎を打っておくことをおすすめします。
外務省によると破傷風の予防接種もおすすめされていますが、こちらは1968年以降生まれの人はDTPなどの混合ワクチンをほとんど摂取済みだと思いますので大丈夫です。
もちろん可能な限りの予防接種を打ったほうがいい、ということにはなると思いますが、現実的に予防接種の期間や費用を考えると難しい面もあると思いますので、こちらの二つを優先して打つことをおすすめします。
狂犬病は致死率がほぼ100%な上、知らない間に感染して発症…となったら悔やんでも悔やみきれないからです。料金は少し高めですが、リスクヘッジという意味でも打っておいて損はないでしょう。
A型肝炎は食べ物から、B型肝炎は主に血液や体液から感染する病気で、どちらも倦怠感・発熱・黄疸などが現れることが特徴です。
特にB型肝炎は長期滞在していると知らない間に他の人の血液や体液に触れていた…なんてこともあり得ますので、病院やエージェントからも予防接種をおすすめされました。
昔は新型コロナウイルスのワクチンを打った証明書が必要だった時代もありますが、今は特にコロナ関連で必要なものはありません(2024年4月現在)。
私の例
私は狂犬病のワクチンだけを打っていきました。
お医者さんやエージェントの意見を踏まえると、上記の病気の中で特に注意を要する病気が、テング熱、日本脳炎、マラリア、狂犬病、B型肝炎あたりだそうです。
- テング熱、マラリア
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テング熱、マラリアに関しては、現在予防接種の薬はありませんので対処ができません。
マラリアは内服薬などで予防ができるようですが、短期の旅行ではなく長期留学の場合は薬を飲む、というのは難しいと思います。
- 日本脳炎
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母子手帳を見てみると私は既に小さい頃(?)に摂取済みだったようで、病院側から大丈夫だと言われたのでやりませんでした。
- 狂犬病
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は潜伏期間は一般に1~3か月(かなりブレがある)で、動物に噛まれてもその間に治療を施せば助かるそうですが、発症してしまえば致死率はほぼ100%です。気づかない間に傷などからウイルスが体内にしていた…みたいなことがあっては怖いので、念のためにやっておきました。
狂犬病ワクチンの費用は毎回1.5万円で3回打つする必要があり、それぞれ(私の場合は)10日間、18日間の期間を空けて打ちました。
- A型肝炎、B型肝炎
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A型肝炎はなぜか病院側からもあまり言われなかったのでやりませんでしたが、やったほうがいいと思います。
B型肝炎は死亡することのある病気でもあるそうですが、病院から「かかっても治療できるし何とかなるよ」と言われたので、親に費用を負担してもらうのが申し訳なかったのでやりませんでした。ただ、B型肝炎は調べてみると、一般にピアスを空けた際にも感染したりする上に一度発症すると生涯薬を飲まなくてはいけない、という情報を目にしたので、今思えばやっておいたほうが良かったかもしれません(情弱)。
狂犬病は若干高いけど、これで命が助かるなら安いものです。
実際に友達がデング熱にかかっているところを目撃したのですが、本当に死にかけていて大変そうでした。しかも二回目にかかるとさらに重症化しやすく、危険だそうです。
その友達は「恐らく、たまたま入った森林の中のトイレで蚊に刺されてデング熱になったのではないか」と言っていました。事前に予防できるワクチンもないとのことで、蚊に気を付けるしかないですね。
私の場合は、ポリオなども同様に予防接種を受けていたようでした。自分が何の予防接種をすべきか気になる人は母子手帳を見てみましょう。
他の人の例
他の友達に聞いてみると
- 狂犬病、A型、B型肝炎を打った
- A型、B型肝炎だけ打った
- 何もしていない
という3タイプに分かれました。私が心配性なだけかもしれませんが、驚いたことに何もしていないグループの人がかなりたくさんいました(特に男子)。
ただ、ほとんどの人がA型、B型肝炎の予防接種を受けていたため、こちらはやはりはやっておくのが良いのでしょう(期間をかなり空けないといけないので留学までの時間に注意)。
狂犬病に関してはやっていない人のほうが多かったですが、上記の理由も踏まえて念のために打ったほうがいいんじゃないかな、というのが個人的な意見です。
特に、獣医学や生物関係の学部で勉強する予定の方は狂犬病を打ったほうが良いですね。
それぞれのワクチンは
A型肝炎:一回8000円~1万円前後、3回打つ
B型肝炎:一回6000円~8000円前後、3回打つ
日本脳炎:追加で打つ場合は一回6600円(小さい頃に打っていても、10-20年で効力がなくなるので打っておいた方が無難だそう)
だそうです。特にA、B型肝炎は二回目と三回目の摂取の間を20週間空けないといけないらしく、かなり長い期間を要するので、計画的に打っておくことをおすすめします。
こちらは病院によって値段などが異なるようですので、正確な情報はお近くの病院にお尋ねください。
渡航後に気を付けるべきこと
予防接種など以外の面で、渡航後に体調を崩さないためにできることについてご紹介します。
- 出てくる料理
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マレーシアの特にローカルの屋台などで出てくる料理は、衛生面の問題から慣れていない人が食べるとお腹を下してしまうことがあります。特にしっかり加熱されているかどうかをよく確認するようにしましょう。
- 水に気を付ける
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マレーシアでは日本と違って水道水が飲めません(日本が逆に世界的に珍しい)。水道水を飲むと激しい腹痛や頭痛に襲われることがあるので注意しましょう。
また、ローカルの屋台なんかで出てくるジュースの氷は水道水で作られたものであることもあるので気を付けましょう。しっかりとした製氷機で作られた氷は真ん中が空洞になっている(穴あき氷がある)ので見分けることができます。
コンドミニアムや学校にはウォーターサーバーが用意されていることが多いですが、慣れないうちはコンビニやスーパーで買った飲料水を飲んでおくのが安心です。
私は水代をケチりたいので積極的にウォーターサーバーの水を飲んでいます😅 Ray先輩はお祭りで出てきたかき氷を食べて3日間寝込んでいました(恐らく水道水が使われていた)。
- 虫がいそうなところに行かない
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私の住んでいるサンウェイシティは基本的にゴキブリなども含めてあまり虫を見ません。
ただ、下の写真のように汚い水が溜まっている池や草、木が多い場所は注意が必要です。こういった場所は虫がたくさん集まっているため、虫を介して病気を貰うリスクが高まります。実際に先ほど書いた友達も、こういう感じの場所でデング熱にかかった可能性が高いと言っていました。
- むやみに動物に触らない
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こちらの記事でも書いたのですが、マレーシアでは猫は宗教上大切な動物とされていて、日本以上に餌付けされた野良猫がたくさんいます。
そしてこういう猫ちゃんは人懐っこいので、向こうからこちらに寄ってきます。
そういう動物がいるとかわいいのでつい触ってしまいますが、万が一噛まれたりした場合、傷口から菌が侵入する可能性があるため気を付けましょう。また、マレーシアでは野犬もいます。基本的に向こうから襲ってくることはありませんが、狂犬病などのリスクを考えると近寄らないほうが得策です。いずれにせよ、動物と触れ合った後は手洗いを徹底しましょう。
- 実は猫の国!?留学中に日本と違うマレーシアの猫文化に触れた話 | Rayの海外生活ノート in Malaysia 突然ですがみなさん、毎日の生活で動物は見かけますか?私が日本にいたときは近所に犬を飼っている人が多く、お散歩中の犬をよく見かけた記憶があります。 一方マレーシア…
旅行者の場合
マレーシアに長期留学する場合はよいのですが、日本から友達が数日旅行に来る際に「旅行する時に予防接種とかいるの?」と聞かれたことが何度かありますので、その場合についてもご紹介します。
結論、私個人としては特に何も用意する必要はない、ということになると思います。
基本的にこういった旅行は数日なので、その間にB型肝炎や狂犬病にかかるようなことはあまり考えられないからです。今後も世界中を旅する予定があるのであれば、将来を見据えて何かの予防接種をしても良いかもしれません。
海外保険に関してもあまり入っている人は見かけません。これは大学生なのでお金がないという事情も関係しているのかもしれませんが、エポスカードなどの海外保険が付帯しているクレジットカードを持ってくるだけで十分、という人が多いです。
あとは、常用している下痢止めや頭痛薬などがあれば、それらを持参するくらいでしょうか。
そんな感じで、私個人としては渡航後に特に無茶なことをする予定が無ければ、特段気を付けることはないのではないと思います。
終わりに
今回はマレーシア留学に関する予防接種、ワクチンについて記事にしてみました。マレーシア留学に限らず、マレーシアへの渡航を考えている方の参考になれば幸いです。
渡航前の荷物についてはこちらを参照してみてください!
海外大学に渡航する前にしておくべき手続きについても別の記事がありますので、ぜひ読んでみてください!