マレーシア留学は「学費が安い」「教育レベルが高い」と注目されていますが、実際はどうなのでしょうか?
私は2023年7月から記事執筆時点では約2年ほどマレーシア留学をしているのですが、そんな私が、リアルなメリット・デメリットを紹介します。留学前に期待していた大学生活とのギャップや、ネットにある情報のウソもぶっちゃけます!
結論:マレーシア留学はおすすめ?
最初に結論から言うと、マレーシア留学はどちらかというと満足だけど、不満なところも多いというのが正直なところです。
これは私だけではなく、万人におすすめできるか?と聞かれてもそういう答えになると思います。
正直、留学の目的や目指す姿によって全然おすすめ度合いが異なるかなという感じなので、ぜひこちらの記事を最後まで読んで判断してみてください。
マレーシア留学のメリット
格安で留学ができる
学費で言えば、国公立大学なら年間30万円程度、私立大学でも100万円以下のところが多くあります。これに加えて1か月の生活費は家賃込みで5, 6万円前後で生活できたりもします。
そのため、トータル費用で見ると他国への留学はもちろん、日本の大学よりも安くなる可能性があります。
留学費用の概算についてはこちらで詳しく紹介しています。

留学のハードルが全体的に低い
ファウンデーションや大学の学部課程入学に求められる英語力要件が他の国と比べて低いため、留学のハードルが低いです。IELTS5.0などのレベル(英検2級)で入学できる大学もたくさんあります。
また、高校の成績も5段階評価で3以上あれば入学できる所も多いため、高校三年生から急にマレーシア留学を目指したとしても十分間に合うでしょう。
日本人が留学するような大学(国立大学を除く)は基本的にすべての授業が英語で行われます。
日本人留学生で国立大学に留学する人はほぼいません。国立大学は現地人のための大学なので留学生の受け入れ人数が決まっており、就職サポートも手厚くないからです。そのため、日本人はほとんど私立大学か海外大学の分校に留学します。
その割に教育レベルが高い
こちらはQS世界ランクの2025年度版におけるマレーシアの大学のTOP10をランキング順に並べたものです。
- モナッシュ大学:37位
- マラヤ大学:60位
- サウサンプトン大学:80位
- ノッティンガム大学:108位
- ニューカッスル大学:129位
- ランカスター大学:141位
- マレーシアサインズ大学:146位
- マレーシアプトラ大学:148位
- マレーシアケバンサーン大学:138位
- ウーロンゴン大学:167位
参考までに、日本の大学もいくつか。
- 東京大学:32位
- 京都大学:50位
- 早稲田大学:181位
- 慶應義塾大学:188位
こう見ると、最上位のモナッシュ大学は東京大学と京都大学の中間に位置していますし、全体的に世界から高めの評価をもらっていることが分かります。
もちろんこれだけで教育レベルが高いとは言えませんが、費用の割にはコスパが良いと言えるでしょう。

大学の教育プログラムが豊富
大学というと、日本だと主に4年制大学が思い浮かびますが、マレーシアではファウンデーション(大学準備コース)なども含めてたくさんの教育プログラムがあります。
例を挙げると、
- アメリカの大学への編入を目指すATDP
- 二つの大学(マレーシア+イギリス等)の学位を両方取得できるデュアルディグリー
- 大学生活の一部をマレーシア、一部を他国(アメリカ等)で凄し学位取得を目指すツイニングプログラム
- 世界各国の大学入学資格として使えるファウンデーションコース(AレベルやCIMP)
などがあります。
学問としても、文系理系を問わず、日本の大学で学べるような学問はほとんどマレーシアでも学べます。

3年間で学士号が取得可能
マレーシアはもともとイギリスの植民地であったために大学もイギリス式となっており、基本的に3年で学部を卒業することができます(工学部など、一部4年制のコースもあります)。
これによってトータルの学費や生活費を抑えることが可能になります。また、一年間ファウンデーションコースを挟んだとしても、日本の大学にストレートで進学した場合と変わらない年数で社会に出ることが可能です。
多様な言語・文化に触れられる
マレーシアはマレー系マレーシア人が7割程度、2割が中華系マレーシア人、残りがインド系マレーシア人とその他の国の人で構成されている多民族国家です。それに伴って様々な文化が共生しており、日本とは全く違った文化に触れることができます。
宗教としてはイスラム教の人が多いですが、キリスト教やヒンドゥー教を信仰している人も多くいます。 また、マレー語が公用語とはなっているものの(英語は準公用語)、街中では中国語やタミル語なども話されています。人によっては方言を含めて5か国語を話せる友達もよく見かけます。
そのため、多様な文化や言語に触れられ、異文化理解能力も高まることでしょう。

隣国に旅行しやすい
マレーシアは赤道の付近に位置する国です。地図を見ていただけると分かりやすいのですが、隣国としてはシンガポールやタイ、インドネシアがあります。
カンボジアやベトナムなどの東南アジア諸国にも格安(片道1万円以下)でクアラルンプール国際空港から旅行ができてしまいます。留学中に気軽に他の国に旅行に行けてしまうというのが個人的にはかなり好きです。
生活がメチャクチャしやすい国である
様々な観点から、とても生活がしやすい国だと思います。
- 日本から近い
- 7時間程度(往復5~6万円)程度で移動できる
- 治安が良い
- 世界治安ランキングでは2025年で10位に輝いている
- 気候が安定している
- 年間を通して安定した気温(30度前後)であり、体感だと日本の夏よりも過ごしやすい
- 荷物も長袖や衣替えが必要なくて楽ちん
- ご飯が美味しい
- ちょっと辛かったりするけれど、基本的には日本人の口にもマッチする味
- フルーツも安くておいしい
- 親日国
- みんなアニメが好きだったりして、日本人だと言って悪い印象を持たれることはほぼない
- 南国気質
- みんな他人のことは気にせずにのんびり生きているので、変なストレスがなくて精神的に楽
- 日本のものがたくさんある
- 無印良品やユニクロ、ファミリーマートなどの日本のお店がたくさん
- 日本人が多い
- デメリットとも捉えられるが、何か困った時に母語で助けてくれるコミュニティがあるのは精神的に安心

マレーシア留学のデメリット
そこまで英語力は伸びない
大体のエージェントは「格安で高い教育レベルの下で専門知識も英語も習得できる」的なことを宣伝文句にしていると思います。ただし、みなさんが思い浮かべるような英語能力が身に付くのかと言われると疑問があります。
正直、マレーシアの英語レベルは、思っているほど高くはないなと留学して思いました。
まず、マレーシアの英語はマングリッシュと呼ばれており、非常に訛りが強いことで有名です。そのため、マレーシア人の発音がネイティブのものとは異なるということを頭に入れておく必要があります。
また、みんな第二言語として英語を話しているため、使われる単語や構文のレベルが低いです。それに、多少間違えた英語を話していても誰も咎めません。
そういった関係で、私は英語力が渡航前と比べて向上したという実感がほとんどありません。数年マレーシアに滞在している先輩に聞いてみても、英語が思ったより伸びなかったという声もよく聞きます。
渡航前は英語が話せる国ならどこでも同じじゃないのかと思っていましたが、英語力の向上がメインならば留学先はネイティブの国にしておいた方が良いと思います。

ただ、メチャクチャ努力すれば留学後にIELTS7.0~7.5程度の力を身に着けることは可能だとは思いますので、努力次第によっては日本人としては十分、という見方もできます。 なお、理系よりも文系のほうが要求される英語力は高くなります(数式は世界共通であるため、あまり英語は関係ない)。
ちなみに、基本的には英語での生活に困ることはありませんが、クアラルンプールの都市部でもローカルなご飯屋さん等に行くと英語が通じない(もしくは訛りすぎて何を言っているか分からない)ことはあります。

中国人が固まっている・日本人が多すぎる
マレーシアの人種構成は多様と言いましたが、マレーシア人の収入が日本人と比べて低い関係で、私立大学のように学費が高いところになるとお金持ちの中華系マレーシア人の割合が高くなります。
例えば、モナッシュ大学の場合は、マレー系マレーシア人やインド系の人はほぼおらず、ほとんどが中華系マレーシア人です。
そして、中華系マレーシア人で固まっていると彼らは中国語で話をしていたりするため、英語しか話せない人にとっては仲間の輪に入りづらかったりします。
あとは日本人が多すぎるのもデメリットです。最近の学生寮なんかは日本語だけで生活ができてしまうレベルで日本人がいて、少し嫌です。


卒業が大変だったりもする
よく海外大学は入るのは簡単だけど卒業が大変、という話を聞きますがその通りだと思います。確かにモナッシュ大学の場合だと、1~3割の日本人が単位を落としたりもする、と聞きます。
ただし、勉強のやり方を工夫したりすれば高い成績を維持することも全然可能ですし、きちんと頑張れる人であれば問題ないかとは思います。私も実際に主席表彰などをもらっています。

そこまでレベルが高い留学先ではない
教育レベルが高いのは本当ですが、生徒の質については真面目な人、ふざけている人にバラつきがあります。
実際、マレーシアに来てからそこまでレベルが高い天才を見たかと言われると、ほぼ見たことがありません。英語レベルも鑑みると「あくまで値段相応の留学先」というイメージです。アメリカやイギリスの名門大学のような刺激を求める人には物足りないかもしれません。
詳しくは別の記事で書いています。

人によっては生活がしづらいかも
いくつかの点から、人によってはマレーシアが生活しづらいと感じるかもしれません。
- 衛生面では日本に劣る
- 都市部でも夜になると野犬が出没
- マレーシアではホースでお尻を流すスタイルなので、トイレの床は濡れていることが多い
- 下水の匂いなどがあり、水回りは日本よりも汚い印象
- みんなテキトーに生きている
- 良く言えば大らかな人が多く、悪く言えば日本人ほどマナー的にきちんとしていないという感じ
- 神経質すぎる人には向いていないかも
- 意外と刺激がない
- 意外と半年くらいして生活になれると、新しい刺激が欲しくなる
- 首都のクアラルンプールに大体のものが集結している
- 街並みがどこも一緒な感じ
- 出てくるご飯が東南アジア!という感じでどこも似ている

アルバイトができない
学生ビザで留学している場合、基本的にアルバイトはできません。例外として休暇期間に週20時間までなら許可されることもあるそうですが、時給が300円前後だったりするため、金銭の足しにはならないでしょう(人生の経験値にはなるかも)。
ただし、オンライン家庭教師などで日本円を稼ぐことは可能ですので、日本語教師や英語教師として働く人が周りだと多いです。

そこまで物価が安くはない
マレーシアの物価は日本の3分の1である、などと書かれているサイトをよく見ますが、それはかなり昔の話です。
近年は物価上昇と円安の影響もあり、物価は日本に近づいてきていると思います。
家賃、公共交通機関、ローカルなご飯屋さんは確かに安いですが、ショッピングモールの中のお店やシャンプー、電化製品などの生活用品は日本と大して価格が変わりません。もちろん、それでも全て込みで月5, 6万円で生活できてしまうので安いとは思いますが…
マレーシアの知名度が低い
マレーシアは日本人の移住したい国ランキング一位にもなっていますし、これからはアジアの時代とも言われており将来的な株の価値は高いと思います。
しかし、やはりアメリカやイギリス、カナダやオーストラリアと比べて留学先として知名度は低いです。
それによって「なんでマレーシアにしたの??」と興味を持ってもらえることも多いですが、その反面で周りからの理解を得たり将来的に身に付くブランド力という意味で弊害になる可能性も否めません。
実際私もマレーシアに進学すると周りの人に伝えた時は、「マレーシアってどこだっけ?」と言われたり、数日経つと忘れられて「進学先ってシンガポールだっけ?」と間違えられたこともたくさんありました。

マレーシア留学がおすすめな人、おすすめできない人
生活面においては心配していたほどカルチャーショックはありませんでした。アジア圏ということもあって、根本的には似ているところがあったからかもしれません。気候もご飯もそうですが、先ほど書いたように生活環境としては非常に快適だと思います。
ですが、英語能力の向上に不安を感じたのは事実ですし、あまり学習レベルに関しては満足していません。そのため、胸を張って全員にマレーシア留学をおすすめはできない、というのが正直なところです。
おすすめな人
- おおらかで細かいことを気にしない人。なんでも受け入れられる人
- 低コストで海外大学の学位や専門知識、英語での学習経験を得たい人
- 海外生活を気軽に体験したい人
- 多文化環境に興味がある人
- 高校3年生などから急に海外大学に行きたくなった人(留学ハードルが低いため)
おすすめでない人
- 神経質な人: 衛生面やテキトーな国民性にストレスを感じるかもしれない
- 英語力向上が第一目的な人: マングリッシュ環境ではネイティブ英語は期待しにくい
- ブランド力を求める人: マレーシアの知名度が低いため、キャリアでの評価が気になる場合は一応そこを考慮
- 刺激を求める人: 単調な生活や、そこまでレベルが高くない学習教育に物足りなさを感じる可能性も
- 日本人が全くいない環境がいい人:自分の努力で関わらないことも可能だが、「全く日本人がいない環境」を希望するのであれば別の国のほうが良いかも
まとめ
というわけで、今回は2年間の経験を基に、メリット・デメリットを正直にまとめました。
メリットデメリットといいつつ、結局大事なのは「自分の留学の目的が何なのか」です。それによって満足感も異なってくると思いますので、自分のゴールについてよく考えてみてください!
留学先選びの参考になれば幸いです! 質問があれば、気軽に聞いてくださいね。